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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第73回

ブログ「リストラなう」が出版社の内情を明かした理由

2010年06月08日 12時00分更新

文● 古田雄介

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NHKの大河ドラマがきっかけだった

―― 「どんじりのブログ、たぬきち日記」時代から、たまに会社の給与体系が厳しくなったことやリストラがはじまったことを書いていましたね。そこから「リストラなう」に改名したのはなぜですか?

たぬきち 3月にNHKの「龍馬伝」で、龍馬が脱藩するという話をやっていたんですよ。その流れで、ついツイッターで「俺も脱藩なう」と書いたんです。そうしたら、付き合いのある書店さんから「え、マジ?」みたいなツッコミが入ったんですよ。それで、じゃあ説明した方がいいかなと思って、そのまま社名を伏せて4つくらい質問に答えたんですが、これがかなりの人にリツイートされまして。「もしかしたら面白いのかな」「このままリストラまでの2ヵ月を待つのもつまらないしな」と思い立って、じゃあブログで書いてみるかとなったんです。あまり深く考えて始めたわけじゃないんですよね。

たぬきち氏。1日の記事が長文なうえ、毎日更新を始めたため、4月第一週の時点で書くネタがなくなったという。「だからネタ切れしたよーとは書いたけど、毎日更新するって決めたから書くしかないんですよね」と、ペースダウンは一切考えなかった様子。その後、書店や編集、営業など、出版業界の現状についてつづることも増えた

―― スタートからかなりのペースで注目を集めたと思います。4月初旬にはネットのニュース記事になったくらいだから、スタートからわずか1週間程度。この反響は肌で感じました?

たぬきち それはもう。ブログのタイトルを変えて2日目に、ITジャーナリストの佐々木俊尚さんがツイートで取り上げてくれたんですよ。そこからすごく伸びましたね。正直、最初は1日1000人くらい見に来てくれるかもという気持ちだったんですが、フタを開けてみたら1日2~3万のページビューがあって。おそらくユニークユーザーは8000人くらいという。驚きました。元のブログのときは1日30人くらいしか見に来てくれなかったんですけどね(笑)。

―― ブログでも、反響の多さからの不安や怖さをつづっていますね。それでも毎日更新を続けています。よく折れなかったですね。

たぬきち 途中で辞めるってことですか? それは考えなかったですね。最初に「(会社を)辞める日までは続けます」って書いたから、その約束は守ろうと思いましたし。前の名前のときから、いつか毎日更新しようとは思っていたんですよ。やっぱり、ブログは毎日更新しないと意味がないと思っていたところもあって。まあ、休日はお休みしていましたけどね。

 あと、怖さといっても、それほど深刻にはとらえてなかったと思います。調べてみるとアクセス数が急に伸びて、ユニークユーザーもすごい数になっている。でも、1万人近い人の前で話しているという実感はわきません。どんな人がどんなふうに読んでいるのかというのは、いただいたコメントからしか見えてきませんし、いくら多くの人が読んでいるという数字が出てもコメントしてくれる人は100人もいないかそれくらいですしね。はてなブックマークもたくさんついているようですが、あれはよく分からなくて見ていないんですよ。もともとITは詳しくなくて、昔ブログを始めたのもたまたまですし。

 その感覚だったので、本音では「別にまあいいか」という気持ちがありました。

―― では、もしブログをやっていなかったら?

たぬきち 「リストラなう」もやらなかったかもしれませんね。リストラの話が来ても、何もせずに、ツイッターでつぶやくくらいで。

 でも、ブログでやってみて思うんですけど、ツイッターでのやりとりだけだと、まとまったコンテンツにならないからつまらなかったでしょうね。ツイッターの人たちは基本的にやさしいですし。いまの僕がブログで自慢できるのは、皆さんが素晴らしいツッコミを入れてくれているコメント欄なんです。ああいう激しいやりとりが生まれたという点で、ブログをやっていてよかったと思いますね。

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