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大河原克行が斬る「日本のIT業界」第10回

国内電機メーカー決算出揃う

2010年06月02日 09時00分更新

文● 大河原克行

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コスト削減が功を奏す、電機各社に共通する課題とは?

 電機大手から2009年度連結業績が出揃った。

 今年度から三洋電機がパナソニックの連結対象となったことで、新聞報道などでは、これまでの大手9社から、大手8社という言い方になっている。

 大手8社の業績は、すべての企業が減収となる一方、営業利益は、三菱電機を除いた7社が増収になるとともに、ソニー、東芝、NEC、シャープが黒字転換して全社が黒字化。各社ともに構造改革の成果が増益につながっているという構図だ。

 2010年度に関しては、NECを除いて増収増益の見通し。NECについても、2010年度から非連結対象となる半導体事業を考慮すれば、実質的には5%の増収計画になる。

 一方で、日立製作所、パナソニック、東芝、NEC、シャープ、三菱電機では経営計画を発表。富士通も7月には中期経営計画を発表する姿勢を示している。各社に共通しているのは、世界的な景気回復やグローバル戦略の加速を前提に、増収増益の成長戦略を描いている点。今後は、いかにグローバル競争力を高めるかが共通の課題となりそうだ。

 電機大手の2009年度業績と、今後の中期的な取り組みをまとめてみた。


白物家電が好調、情報家電も利益確保に

 日立製作所の2009年度連結業績は、売上高は前年比10%減の8兆9685億円、営業利益は59%増の2021億円、税引前損益は3534億円回復し、635億円の黒字。当期純損失は6803億円回復して、1069億円の最終赤字となった。 「拠点の整理統合や、人員規模の見直しによって3300億円規模の固定費を削減。集中購買の拡大やグローバル調達の強化などにより調達コストを3100億円を削減した」(日立製作所・三好崇司副社長)という。

日立製作所・中西宏明社長

 白物家電事業が好調であるほか、デジタルメディア・民生機器事業も第2四半期以降も利益確保に転じているものの、2010年度はエコポイント終了の影響を見込む必要があるほか、材料費の高騰や、「世界経済が一本調子で戻っているわけではなく、コンサバティブにみなくてはならない部分もある」として慎重な姿勢を崩さない。

 一方、2012年度を最終年度とする中期経営計画では、売上高で10兆5000億円、営業利益率5%以上、純利益で2000億円台の安定確保を目標とし、社会イノベーション事業による成長と安定的経営基盤の確立を目指すという。

 日立製作所・中西宏明社長は、「創業100周年を迎える2010年は、守りから攻めに転換するターニングポイントになる。人を生かし、技術を生かし、強い日立を復活させ、世界有数の社会イノベーション企業となることで、ステイクホルダーの期待に応えたい」とした。

 また、海外事業に関しては、グローバルな現地化の推進・拡大、パートナー連携による事業機会拡大、日立の強みを生かした新規事業拡大の3点をあげ、2012年度の海外売上高比率を現在の41%から、50%強へと拡大する姿勢を示した。


固定費の大幅な削減に着手、グローバル競争力の確保を

 パナソニックは、2009年度の連結売上高は7兆4180億円、営業利益は1905億円となり、営業利益率は2.6%。税引前損失は293億円の赤字。当期純損益も1035億円の赤字。ROEは、マイナス3.7%に留まった。

パナソニック・大坪文雄社長

 2600億円の固定費削減計画に対して、3715億円の固定費を削減したことで、損益分岐点を12%も引き下げたことが増益の要因といえる。

 一方、パナソニックが取り組む中期経営計画「Green Transformation 2012(略称・GT12)」は、2012年度に売上高で10兆円、営業利益率が5%以上、ROEが10%、フリーキャッシュフローが3年間累計で8000億円以上、環境目標として2005年度比5000万トンのCO2削減貢献を掲げる。

 三洋電機の子会社化によって、統合に向けた作業が推進されることになる一方、両社のシナジー効果を発揮するための体制づくりが鍵になる。とくに両社が得意とする環境戦略を機軸に置くことで、先行する韓国サムスンとの差別化を明確にする考えだ。

 ただし、売上高などの主要指標は、2009年度を最終年度とした中期経営計画「GP3」の目標値をそのままスライドさせたもの。世界的な経済環境の悪化により、目標未達となった前中期計画への再挑戦との色彩が強い。

 パナソニック・大坪文雄社長は、「変化に対する感度不足、変革へのスピード、実行力の欠如を反省し、構造的な課題の解決に根本から取り組まなくてはならない」と語り、グローバルで戦える体制の構築に取り組む考えだ。

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