6月1日、日立電線はデータセンターでの利用を見込んだ40GbE対応のボックス型スイッチ2機種「Apresia15000シリーズ」を発表した。リリースは2011年2月末で、製品のスペック等は予定のものとなる。
データセンターに活路を拓く
発表会において日立電線 執行役 情報システム事業本部長 辻正明氏は、まず日立電線のネットワーク事業について説明した。日立電線は1982年にネットワーク事業をスタートし、Ethernetとともに歩んできた。2003年には自社のLANスイッチブランド「APRESIA(アプレシア)」を立ち上げ、ボックス型スイッチでリングネットワークを構築することで、シャーシ型スイッチと同等の可用性やパフォーマンスを実現する「BoxCore」のコンセプトをベースにしたスイッチ製品を市場に投入している。現在、APRESIAを含む情報通信ネットワーク事業は売上げ全体の約16%にまで拡大しているという。
現在、エンタープライズ向けスイッチは製品がコモディティ化していることで、長期的に微減となっているが、データセンター向けの市場は成長が見込めるという。こうしたなか、2009年には10GbEポートを数多く搭載した実現したApresia13000シリーズを投入。データセンターや大学などでの導入実績を重ね、売上げも前年度に比べ、約5倍に跳ね上がっているという。そして、データセンターをにらむ第2弾の製品として投入されるのが、「Apresia15000シリーズ」2モデルになる。
40GbEのアップリンクを標準搭載
1モデルめの「Apresia15000-64XL-PSR」は、2Uラックマウント筐体に10GbEインターフェイスを64ポート搭載するモデル。64ポート中、56ポートは10GbE(10GBASE-R/SR/LR/ER)と1GbE(1000BASE-T/SX/LX/T)のデュアルスピード対応。残りは10/40GbEのコンボポートとなっており、1/10GbEのデュアルスピード4ポートと40GbE(40GBASE-R)1ポートが排他利用になっている。価格は本体が400万円、電源が24万円。
2モデルめの「Apresia15000-32XL-PSR」は、1Uラックマウント筐体に10GbEインターフェイスを24ポート搭載するモデル。Apresia15000-64XL-PSRと同じく、10/40GbEのコンボポートを搭載する。価格は本体が160万円、電源が20万円。
製品の最大の特徴は、やはりパフォーマンス。標準で40GbEのインターフェイスを搭載するボックス型スイッチは世界初で、それをノンブロッキングで伝送するスイッチング容量も世界最大規模。64XLは1.28Tbpsとテラビットクラスのスイッチング容量を実現した。両者ともホットスワップ対応の冗長化電源を搭載し、サーバーと同じく前面吸気・背面排気の空冷を採用。データセンターの需要に応える。
また他のApresiaと同様、L2、L3など複数のソフトウェアライセンスが用意されており、データセンターライセンスを購入することで、FCoE(FibreChannel over Ethernet)/DCB(DataCenter Bridging)にも対応する予定。製品の詳細に関して説明を行なった日立電線 情報システム本部 ネットワークエンジニアリングセンタ副センタ長 末永正彦氏は「保守用機材として、L2とL3スイッチを別々に用意しているお客様もいるが、Apresiaではライセンス購入で使い方を変えられ、コスト削減も可能になる」と話す。
製品の出荷は2011年の2月末で、現在開発中。6月9日から開催されるInterop Tokyo 2010でも参考展示される。