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松村太郎の“モバイル・ネイティブ”時代の誕生を見る 第8回

ケータイの進化をたどる回顧展に何を思ったか

2010年06月01日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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回顧的に展示を楽しみ、次代を考える

 ドコモとしてはもちろん新端末のPRの意味も込めて、今回のMOBILE TIDE 2010を開催したのだろうし、メインはデザイン・コラボを果たした2010年夏モデルだ。しかし訪れる人々の注目は、過去の端末に集中していたようだ。

 たとえばスーツを着た男性は、やっとポケットに入って違和感が無くなった1997年頃の端末を熱心に見ている。カップルはPHSやカラフルな折りたたみ端末を指さしながら「アレを使っていた」「プリクラを電池蓋の裏に貼ってて」みたいな思い出話に花を咲かせる。

会場を訪れた人たちは端末を眺めながら思い出話に花を咲かせていた

 そんな彼らが今、どんな端末を使っているかはわからなかったが、やはり過去のモノを振り返るまなざしであることは変わらなかった。

 そして今の子供たちが初めて目にするケータイがスマートフォンになりつつあり、同じく初めて目にするコンピュータがiPadになりつつある。これまで魅力的だった形態・形状・デザインの進化から、ソフトウェアの進化への移行の中でも、当時僕らが覚えていた楽しみのようなモノをいかに提案していくか、考える必要がある。

 もう1点、iPadがSIMロックで発売されることを契機に、ディスプレイがない、通話ができない、しかし無線LANのルーターになる、そんなデバイスも盛り上がってきた。そんないわゆるモバイルルーターについては次回取り上げるとして、端末と通信の使い方の変化が揺れ動いているのが2010年なのだ。


筆者紹介──松村太郎


ジャーナリスト・企画・選曲。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。嘉悦大学、ビジネスブレイクスルー大学でも教鞭をとる。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。スマートフォンに特化した活動型メディアAppetizer.jp編集長。自身のウェブサイトはTAROSITE.NET


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