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いよいよ発売!! iPad総力特集 第4回

iPadって何が便利? 2人の「達人」に聞いてみた

2010年05月31日 14時00分更新

文● 広田稔 語り●松村太郎、山脇智志

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iPadは「Apple II」以来の革命


山脇 知り合いがiPadでモテたって話もあります。


── モテたって何ですか(笑)。

画面がデカいから、よりエアホッケーも楽しめる!? 画像は「Touch Hockey Extreme: FS5 (FREE)」

山脇 米国版のiPadをある人に買ってきたんですよ。そうしたら「山脇さん、もうすごく感謝してるよ」というんで、何かと聞いてみたら飲み会で女の子にモテまくりだったという(笑)。「俺に勝ったら1杯おごってやるよ」ってエアホッケーのゲームをしかけて、わざと負ける。勝負事になった瞬間、さっきまでと違う顔が見られて、ちょっと楽しいという。


── それはiPhoneでも、今までのパソコンでも、できなかったことですね。

山脇 iPhoneだと画面が小さいので、距離が近過ぎるんですよね。iPadの適度な距離感だから180度のコミュニケーションが成り立つんです。

 あとお店の呼び込みにも便利だという。「いい席ご用意できますよ」っていうのでは分かりにくいけど、それをiPadの画面で見せれば、ここで「予約」ボタンを押してすぐに確保できますよ……と案内できる。このリアルタイムコミュニケーションはスゴい。


── ネットワークにつなげるiPadなら、実現可能ですね。

松村 お店の呼び込みだけじゃなくて、例えば、アーティストや画家が、iPadに作品を入れてパトロンに直接渡すって使い方も考えられます。だって、4万8800円からって価格は、考え方によっては安いものですよ。


── ちょっと前の高価なデジタルフォトフレームって、それくらいしましたよね。結婚式とか、記念品としてフォトフレームごと贈るってやり方は、普通にありますし。

山脇 500万円ぐらいの仕事を取るのに、プレゼンで5万円程度の出費だったらアリですよね。100分の1のコストなので。プレゼンのときに「はい」ってiPadを出されて「これ、別に返さなくていいですよ」っていわれたらすごく響く。

 韓国ではヒュンダイが自動車のマニュアルをiPadで見られるようにすると発表してますよね。車だと数百万円で売るからできることです。


── そんな使い方を聞いて、iPadの便利さが何となく見えてきました。私はiPadをパーソナルビューアーやパーソナルコミュニケーションツールの延長としてとらえていたんですよね。iPod touchが単に大きくなっただけで、使い方まで同じだと思い込んでいた。iPadって割とすごい存在なのかも。

山脇 人生で生きてるうちに、「うわっ、これは見たことない!」ってものに出会う機会って、そんなにないと思うんです。iPadは、そのうちのひとつだと思います。

松村 向こう20年で最後かもしれません。

山脇 よく話してるんですけど、おそらくコンピューターという領域で、iPadのような「何これ!?」という新しいものはそうそう出てこないと思う。

 iPadは何年も前から「iPhoneの画面が大きくなれば便利なのにな」って要望があって、それが爆発寸前のタイミングで出てきた。でも、コンピューティングの中で次に出てくるものって、全然思い付かない。あとは、性能のよくなったiPhoneやiPadくらいじゃないでしょうか。なんとかのチップが入ったとか、一般の人にあまり見えない部分の差異ですよね。

 このタイミングでiPadに出会えるってことは、こういうガジェットが好きな人であれば、たまらないことだと思うんです。俺は「Apple II」や「Macintosh 128K」をリアルタイムで経験していないので語れませんが、iPadはそれと同じくらいのインパクトを持ったものとして、後世で語れると思います。

 これは今から5年ぐらい前に出た「Origami」では、なかった感動です。同じタッチデバイスで私も買ったんですが、全然感動がなかった。

Origamiは、UMPCのコードネーム。名前の由来は、「美しく小さなものを表わすと同時に、1枚の紙からいろいろなものを作り出せる点が適応力の高さやたくさんの可能性を秘めている」からだという。画像は国内最初のUMPCとなった「SmartCaddie」


── 私もタブレットPCの可能性を感じていて、Windows機をいくつも買っていたんですよ(そういえばこんな座談会にも出た)。でも、iPadはそれらと違うというのは分かります。

山脇 結局、できることが多すぎるんです。「あれができない」「これができない」って言われて、全部の機能を盛り込んだら、結局、使いにくくなってしまう。

 Windowsのタッチ端末は、既存のコンピューターをそのまま触れるようにしただけじゃないですか。今までキーボードとマウスでできていたことをタッチでしましょうといっても、使っていくうちにマウスやキーボードで操作したほうが早いって気付かれてしまう。

 だからiPadのような割り切りってすごい重要だなと思うんです。割り切りって、前で触れた集中化にもつながりますよね。余計なことをさせないっていうのは重要です。


── なるほど。シンプルだからいい。それが、iPadの本質なんだなぁ。

山脇 iPadって、別になくても困らないんですよ。盗まれたといいましたが、95%はほかの端末で代替が効くので問題ない。でも、そのiPadでしかできない残りの5%のエクスペリエンスがすごく大きい。

 私は固まったライフスタイルの上に、ガジェットを入れるという主義なので、これから先、iPadを持ち歩くことはそう多くないと思います。じゃあどこで使うかといえば、アップルが狙っている通り圧倒的にリビングなんですよね。「何でもできる」っていうのはまったく期待してないので、あとは仕事だったらプレゼンですかね。出先でTwitterっていったら、iPhoneを使うと思います。

松村 うん、そうですよね。

山脇 iPadじゃないと実現できなかったところはすごく少ないんですが、ほかの端末ではなかなか難しい。じゃあ、その5%を埋めるためなら、4万8800円でも安いんじゃないかって。iPadはそんな気にさせてくれる端末なんですよね。


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