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いよいよ発売!! iPad総力特集 第4回

iPadって何が便利? 2人の「達人」に聞いてみた

2010年05月31日 14時00分更新

文● 広田稔 語り●松村太郎、山脇智志

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シンプルだから、ひとつのことに集中できる

── 手元からパソコンがなくなって、iPadだけで過ごしていたときは、ほかに不便は感じなかったんですか?

松村 まぁ……、例えば、プレゼン資料に動画を貼り付けるのが面倒といったような不便さを感じることもありました。でも、実際に「できること」を制限されてみて、それが本当に求められてるのか、やりたいことなのかときちんと考えるようになると、実は枝葉の部分であったと感じることも多かったんです。

 本質的には相手にプレゼンできればいいとか、メールが書ければいいとか。割り切ることによって、何か別の時間が生まれることも多かった。


── なるほど。パソコンって便利なんですが、色々やれてしまうがゆえに、逆に時間を取ってしまうところもある。

松村 もちろんすべてをiPadでやっていたわけではなくて、用途によってiPhoneと使い分けていました。例えば、Twitterはまだいいクライアントに出会えていないのでiPhoneですね。


── 逆に「これはiPadにしかできない!」って体験はありましたか?

松村 大きく変わったのは、ウェブブラウズですね。ウェブってパソコンなら50cmくらい離れて「見て」いますよね。でもiPadは、本と同じ距離でウェブを「読む」ことができる。このウェブを「読む」ことができる体験って、すごく大きな変化で、だからこそ日経新聞の電子版とかもiPadに合っていると思います。

日経新聞の電子版


── ウェブサイトはほとんどが縦長に作られているので、iPadを縦で持つと自然に見えますしね。

松村 あとは便利といえば、実はプレゼンに遅刻してしまったときにiPadが役立ちました。プレゼンに遅刻するって、完全に焦っていて大変な状況ですよね。パソコンなら、会場に着いてパソコンを立ち上げて、プレゼンソフトを起動してファイルを開いて……。さらに大変なのがディスプレーの接続で、大事なときに限ってうまくいかないんです(笑)。「はい、お待たせしました」って状態になるまでは、7、8分はかかるわけですよ。

 でもiPadなら、エレベーターの中でiPadを取り出してプレゼンアプリの「Keynote」を開き、VGAのケーブル(iPad Dock Connector - VGAアダプタ)を付けておけばいい。それで「すいません遅れました、始めます」って会議室に入った瞬間からプレゼンを始められる。

 それが実現できるのも多分、先ほどと同じで「シンプル」っていうところにフォーカスして、やれることを制限しているからなんですよね。


── なるほど、シンプルさってiPadの最大の武器なんですね。私はウィンドウが一枚しか開けないのは欠点だなと思ってたんですが、そうとも言い切れないと。

松村 パソコンに慣れてる人はそう思うかもしれませんが、多分、ほとんどの一般人って、Twitterのクライアントを表示させながら、同時にウェブを見ると言ったことができないし、やる必要もないんです。ウェブブラウザーだって、タブを使うという発想すら持っていない。

 だから仕事や作業などで、ひとつのことにしかフォーカスできないiPadというのはすごく貴重。今の進化したパソコンは、パワフル過ぎるんです。

山脇 できることが多すぎると、問題もいろいろ出てきますからね。「これしかできない」なら、それをやらざるをえない。

 私もそうだけど、パソコンだとついついYouTubeや2ちゃんねるを見ちゃったり、Twitterをやってしまうという状況がありますよね。要は、同時にできることとかが多すぎるから、集中できないんですよね。

 だからiPadは、何かをすぐ集中してやるためのツールだと思うんです。松村さんの得意技ですけど、会議に参加して「なるほど」とかいいながら、裏で原稿を書くとかできてしまうわけです(笑)。俺も近いことはよくやっていますが。


── すいません。俺もやっています(笑)。

山脇 とにかくiPadで何かを始めたら、そのアプリに集中するしかない。で、アプリを落としたら終わるっていう、割り切りのよさが魅力ですよね。

 だから、映像を見るのにこんなに適したものはない。パソコンなら、映像を見ながら別のウィンドウでTwitterで実況してしまうけど、iPadならできない。しかもiPadって割と重いから、両手で持たざるを得ない。そしたら、見ることに集中しますよね。


── 確かに。今までのパソコンは「いかにマルチでやるか」を競ってきたわけですけど、iPadは基本的にその進化の方向には乗っていないという。

松村 そうなんですよ。iPadには「マルチ化のパラダイムを諦めてもっと簡単にしよう」ってところがあると思います。

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