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まつもとあつしの「メディア維新を行く」 第5回

書籍アプリはお茶濁しに過ぎない?

電子書籍三原則とフォーマットを整理する

2010年05月28日 09時00分更新

文● まつもとあつし

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リッチなユーザー体験は「読書」を変えるのか?

 先ほどの「不思議の国のアリス」に代表されるようなインタラクティブ性を全面に押し出した電子絵本系が今後のスタンダードになると仮定した場合、数あるデバイスの中でもカラー表示・マルチタッチ画面を備えたiPadは突出した存在だ。

 ただし、GoogleのAndroidはサードパーティの参入を認めるオープンな戦略をとっているため、DELLなどのPCメーカーや、米国大手書店チェーンBarnes&Nobleがリーダーに採用するなど、今後iPadに並びうるデバイスが多数登場する可能性が高い。

 ただ、かつてのマルチメディアCD-ROMの歴史を振り返ってみると、電子絵本にどのくらいの成長力があるかは未知数だ。マルチメディアCD-ROMはインタラクティブなギミックの制作コストに対して十分な回収が図れず、結局衰退していった。

 もちろん、紙や印刷にかかるコストがなく、流通/販売に関するコストを低く抑えられるぶん、その損益分岐点は下がるはずだ。既存本の膨大なライブラリーとその再活用による経済的な規模感、さらには既存プレイヤーのマインドを含めて考えると、筆者は電子書籍市場の主戦場はそこではないと考えている。

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