このページの本文へ

四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第24回

理屈にあわない楽しさを求めて 電子楽器をつくる人の哲学

2010年05月29日 12時00分更新

文● 四本淑三

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ときどき「これは電気で作った音なのか?」という瞬間が

―― ところで、そもそもなぜシンセを自作しているんですか?

武田 僕は最初にも言ったけど、自分の音楽に使いたいから。自分の音が鳴ってたらいいでしょ?

gan 僕はよく分からないんです。最初に作りはじめたのは高校生の頃なんですね。いまの黒い方のシンセがそれなんですけど。

genさんが毎回展示している「黒いシンセ」、通称「くろちゃん」

―― そんなに長い間作りつづけてきたんですか!

gan 音がやっと出たところで、地方の大学に入ってしまったので。実家に置いたまま15年くらい忘れてたんです。2005年にモーグ先生が亡くなったときに「そういえばアレどこ行ったんだろう?」と探したら、実家のトイレから出てきた。

モーグ先生 : Moog Synthsizerを開発したRobert Arthur Moog (Bob Moog)のこと。2005年8月21日に71歳で亡くなっている

―― えーっ!

gan びっくりしましたけど。パネルがオレに訴えかけてるんですよ。ちゃんと最後まで作れと。そしたら面白くてやめられなくなっちゃった。

くろちゃんの中を開けてもらった。これはシンセのサグラダ・ファミリアか?

―― それで四半世紀を経て、やっと日の目を見たと。シンセの何が面白いですか?

gan ときどき「これは電気で作った音なのか?」という瞬間がたまにあるんですね。僕が参考にしているMinimoogという楽器があるんですが、これは最初のポータブルシンセのくせにとてつもない完成度で、そういうことがしょっちゅうあるんです。それが好きでシンセをやっていますね。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン