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マイクロソフトのWeb開発ツールで中身も見た目もクールに 第2回

ダメダメWebアプリからの脱却を目指せ

最新ASP.NETを知るための3つのキーワード

2010年05月31日 16時50分更新

文● TECH.ASCII.jp イラスト●野崎昌子

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「マウスでグリグリ」が容易にできる
ASP.NET AJAXとjQuery対応

 2つ目は、ASP.NET AJAXへの対応である。マウスのドラッグ操作で画像を動かしたり、データ入力中に検索結果を表示するといった処理をWebページのリロードを伴わずに行なえるAjax(Asynchronous JavaScript+XML)はWebの世界を大きく変えつつある。JavaScriptによるHTTPの非同期通信を用いて、XML形式でやりとりを行ない、ダイナミックHTMLを動的に書き換えていくことで、こうした操作性が実現した。Webのサイトの使い勝手を向上させるAjaxの開発に対してマイクロソフトはASP.NET AJAXというフレームワークを用いて、開発者を支援している。

 もとより、Ajaxの開発はJavaScriptやDynamic HTML、CSSなどはもちろん、非同期通信の技術やWebブラウザの互換性を考慮しなければならず、開発は煩雑になる。ASP.NET AJAXはASP.NETにおけるAjax開発を容易に行なうための技術で、Visual Studio 2008などに取り込まれているものだ。具体的にはAjaxの代表的な処理を追加するサーバーコントロールとクライアント用のJavaScriptライブラリで構成されており、さらにオープンソースで開発が進められている豊富な機能を持つ Ajax コントロール集「ASP.NET AJAX Control Toolkit」を組み合わせることで、Ajaxの機能を容易に追加できる。

 コード入力を自動補完してくれる「IntelliSense」にも対応するほか、CodePlexというオープンソースのAjaxコントロールも各種用意されているため、極端な話JavaScriptをいっさい書くことなく、Ajax機能を追加することも可能だ。もちろん、Ajaxで問題となる異なるWebブラウザの動作の違いも吸収されているほか、ASP.NET AJAXを用いない環境も想定されている。

マイクロソフトのjQueryのサポート

 さらにVisual Studio 2008 SP1からはCSSを得意とするデザイナー向けとして人気の高いJavaScriptライブラリであるjQueryもサポートした。Visual Studio 2010では「クライアントサイドでのAjax開発は、jQueryを推奨」といったサポート体制にまで踏み込んでいる。

データベース連携をますます容易にする
ASP.NET Dynamic Data

 3つ目に紹介するのは、データ駆動型のWebアプリケーション開発を容易にするASP.NET Dynamic Dataである。

ASP.NET Dynamic Dataとは?

 データ駆動型といってもピンと来ないかもしれないが、要はデータベーステーブルの参照や更新、追加、削除といったCRUD(Create、Read、 Update、Delete)操作を行なうWebページを容易に行なう技術だ。こうしたWebアプリケーションを最初から開発するには大変な手間がかかるが、ASP.NET Dynamic Dataではコーディングなしで作成することができる。会員制の商用Webサイトであれば、こうしたデータベース処理は非常に一般的なので、ここでの開発の効率化は大きなメリットになる。

ASP.NET Dynamic Dataで実現できること

 具体的には、データベースアクセスにはADO.NET Entity Frameworkという技術を利用する。この技術を用いるとデータベースのデータ構造とは異なる新たなデータモデル(概念モデル)をデザイナで自由に定義することが可能だ。その後、動的Webサイトのテンプレートを追加することで、定義した概念モデルを基にデータベースにリンクしたWebページを自動生成できる。ページテンプレートを編集して見栄えを変えたり、データ型にあわせて異なるコントロールを配置することも可能になっており、カスタマイズが可能なのも大きなメリットだ。

 このように、ASP.NETはマイクロソフトの開発流儀を継承しつつ、Webでの開発に慣れているユーザーに対しても門戸を開いている。開発手法やツールを限定するのではなく、幅広い選択肢のなかからユーザーが最適なものを選べるわけだ。次回は、論より証拠でASP.NETの開発がどの程度簡単なのか、Webプログラマーに紹介してもらおうと思う。

エンドトーク

岩崎課長:なるほど。確かにASP.NET MVCを使えば、デザイナー、プログラマーがそれぞれのスキルを発揮できそうだな。アズルトラベルさんの前のWebサイトも見た目を変えるたびに、プログラムまで更新していて、すごく大変だったからな。

坂本:確かに見た目と中身を分離しておくと、リニューアルとかで楽ですよね。あとはASP.NETとAjaxとこんなに親和性が高いのもびっくりしました。私が参加してきたセミナーでも特に関心が高かったようです。

岩崎課長:アズルトラベルさんの担当者からも地図とか、旅行プラン一覧は、Ajaxみたいな技術でとにかく使いやすくしてくれと言われているので、ここはもっと調べておこう。

坂本:ASP.NET Dynamic Dataも魅力的ですよね。今まではSQLとかを制御しなければならなかったし、Webページも細かく作り直さなければならなかったので、こんな簡単にデータベース使えていいのか?って感じです。

岩崎課長:ASP.NETのよさは私もけっこう分かってきたのだが、とにかくどんな感じなのか使ってもらいたいな。善は急げで、坂本君!さっそく試用版とかを触って、開発を見せてくれ。

坂本:了解しました!

今回のポイント

  • ・Web開発で主流のMVCパターンを利用できるASP.NET MVCで効率的な開発を!
  • ・ダイナミックなWebサイトに必須なAjaxもjQueryも、ASP.NETならガンガン使える
  • ・ASP.NET Dynamic Dataでデータベース操作を行なうWebページの生成もコーディングレスで行なえる

すべらないWebアプリ開発はASP.NETから!by 坂本

ということで、ASP.NETやVisual Studio 2010に興味を持ったユーザーはさっそく以下のドキュメントを一読してみよう。最新のWebアプリケーション開発のノウハウや、マイクロソフトのソフトウェア開発のネタがギッチリ詰まっているぞ。

Microsoft Web 開発 ガイドライン ~ ASP.NET プログラミング エッセンシャル~

http://msdn.microsoft.com/ja-jp/asp.net/ff602016.aspx

ASP.NET 開発者向け技術情報

http://msdn.microsoft.com/ja-jp/asp.net/default.aspx

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