iPhoneから自宅にファイルを直接アップロード
さて肝心のiPhoneで利用できるWebDAVクライアントだが、ファイルのプレビューとダウンロードのみ可能というものが多い。その場合は無料のソフトもあり、「DAV-E free」（App Storeで見る）がお勧めだ。
アップロード機能付きとなると有償のソフトが多い。筆者が利用したのは「OneDisk」（App Storeで見る）。MobileMe（iDisk）やBox.netなど複数のサービスに対応したWebDAVクライアントで画像ファイルやMSオフィス文書のレビュー機能を装備。日本語ファイル名も正しく表示できる。もちろんアップロードにも対応、PCを経由せずiPhone上のファイルを直接他のWebDAVサーバへコピーできるのだ。ちなみに価格は600円だ。
OneDiskを利用したところ、ファイルのアップロードに成功。ただし、作業対象はiPhoneローカルに保存されたファイルのみ、iDiskからのコピーなどクラウドからクラウドへのファイルコピーには対応しない
今回ピックアップしたソフト以外にもWebDAV対応の「Air Sharing」も試してみたが、ファイルの移動完了直前にエラーが発生してしまった
実際の利用方法だが、サービスを選択する画面で「Other Server」を選択し、次の画面でServersMan@CASのアカウント情報を入力すればOK。このとき「Title」欄に“@”などの記号を使わないこと。筆者は「ServersMan@CAS」としたためログインできない状態が続き、30分ほど時間を浪費してしまった。
iDiskからServersMan@CASへファイルをコピーする手順を紹介しよう。まず、アップロード先のフォルダを開き、画面右上にある「→」ボタンをタップ。現れた「Remote Directory Actions」メニューで「Upload Files」を選択する。すると、iPhoneローカル（OneDiskが使用する領域）が表示されるので、対象のファイルをチェックして「Done」ボタンをタップすれば作業完了だ。iDiskなど他のWebDAVクライアント上のファイルをコピーする場合は、iPhoneローカルの領域でワンクッション置く必要があるものの、iPhoneだけで作業を完結できる点はありがたい。
外出先からiTunes……はちょっと難しいかも
自宅のiTunesライブラリを外出先で楽しみたい、と考えるiPhoneユーザーは少なくないはず。ServersManの場合、ベースとなるNAS（MZK-NAS01SG/NAS02SG）に含まれる「iTunes Server機能」を有効にすれば、同じLANに属している場合に限り、メディアフォルダーにコピーされた楽曲を聴くことができる。
しかし、ServersManの機能とNAS組み込みの機能は区別されているため、ServersManのアカウントからはアクセスできない。そもそもiTunesの共有機能に対応しないiPhoneはもちろん、セグメントを越えて共有プレイリストにアクセスできない制約があるMac/WindowsのiTunesも、プロキシなどを介在させない限りは利用不可だ。
回避策はないこともない。ServersManの共有領域に音楽ファイルを保存しておき、MP3やAACのプレビュー（再生）に対応したWebDAVクライアントを利用すればいい。実際前述の「DAV-E free」で試したところ、回線の事情による再生開始までのタイムラグを除けば特に支障なく音楽を楽しむことができた。
「DAV-E free」を利用し、MP3ファイルをプレビューしたところ。iTunesの共有機能は利用していない
現在のところ、iPhone版やAndroid版などServersManシリーズは独立して存在し、ファイルコピーなどシリーズ間を横断する機能は用意されていないが、開発元のフリービットでは同社の仮想サーバーサービス「ServersMan@VPS」向けに「Cloud Shell」なるクラウドからクラウドでファイルコピーできるツールを開発中とのこと。著作権の問題など扱いが難しいジャンルだけに、かんたんに解決するとは思えないが、もう少し枠を広げServersMan間で音楽を（個人の利用の範囲内で）共有できればいいのに、と無邪気に考えている。
