スイーツの「シズル感」を表現するには?
三浦:ケーキを魅力的に見せるには、写真用語で言う「シズル感」を表現することが重要なんだ。
吉田:なるほど、シズル感ですか。
三浦:イチゴやクリームにハイライトを入れ、それぞれの質感で写真からケーキの新鮮さや美味しさを感じさせるのが、プロカメラマンのテクニックなんだ。
吉田:なるほど、よくわかりました。
三浦:今度は私がおやつに持ってきたドーナツも撮ってみるかい?
吉田:(意外と甘党だな、三浦さん)ぜひお願いします。
三浦:じゃあ最初はキミが撮ってみてよ。
吉田:はい。ではテーブルにお皿を載せて、と……。
吉田:どうでしょうか。
三浦:さっきのケーキよりは色はいいけど、あんまりおいしそうじゃないなあ。
吉田:自分で撮っておいてなんですが、ハイライトが無いのでジメッと湿ったように見えますね……。会議室の蛍光灯ではうまくハイライトが作れないんですね。
三浦:じゃあ今度は私が撮ろう
簡易スタジオにドーナツを入れて撮影。
三浦:ご覧あれ。
吉田:全然雰囲気が違いますね。ドーナツの質感がハイライトで表現されているので、パリッと揚がった皮やまぶされたナッツの甘みが感じられてヨダレが出ます。
三浦:ストロベリーチョコドーナツも、手に持った時のチョコの堅さが伝わってきそうだ。
吉田:手前のドーナツは、モコモコしている形状がうまく出ていますね。
三浦:ドーナツそれぞれにハイライトとグラデーションを入れ、質感や形状を表現している。さらにドーナツの立体感を出すために陰影を作るのがテクニックなんだ。
吉田:難しそうですねぇ。
三浦:いやいやカンタンだよ。この簡易スタジオとライト2灯を使えば誰でもキレイに撮れるのさ。具体的にはライトを被写体の……。
吉田:三浦さん、す、すいませんがそこまでにしてください!! 書籍の内容をばらすと鬼のような上司に何を言われるかわかりませんので……。怒られないように、ここで書籍の宣伝をしておきましょう。
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人物、商品、生き物の魅力を引き出す96例 プロが教えるデジカメ撮影テクニック |
吉田:作例のほとんどをコンデジで撮っているんですよね。普段はデジタル一眼レフをメインに使っている三浦さんに無理を言って……。
三浦:そう、作例96例のうち88例をコンデジで撮ったんだ。
吉田:最初は慣れないカメラで勝手が違い、端から見ていても苦労されていたようですが、最後はもうコンデジをベタ褒めでしたね。
三浦:うん、コンデジがこんなにキレイに撮れるとは思っていなかった。
吉田:この本でかなり三浦さんの手の内を明かしていますが、大丈夫なんですか?
三浦:確かに弟子にもなかなか教えない撮影技法をどーんと公開しているからね。例えば「対角線ライティング」とか「なめらか白飛ばし」「帰ってきてからレフ」……。
吉田:(遮って)あ、ありがとうございます!三浦さんが編み出した目からウロコの撮影テクニックはぜひ書籍でお読みください。さらに過去の類書では紹介されることが少なかったプロ向けの撮影道具や小物類も多数登場しています。
三浦:枯葉や砂、背景用のデコラという木目の板など、被写体と組み合わせると魅力的な写真を撮れる小物類、トレーシングペーパーや背景紙などの道具類、ストロボコマンダーなどの便利な撮影機材も54点紹介している。
吉田:オススメのアイテムはなんですか?
三浦:そりゃもちろん表紙に出ている簡易スタジオだよ。