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ホームシアターはBD/DVDだけじゃない!?

iPhone 4×YSP-4100でリビングがライブシアター

2010年06月29日 15時00分更新

文● 鳥居一豊

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iPhoneの音楽をYSP-4100で再生中。iPhoneを手元に置いておき、手軽に高音質なリスニングが楽しめる

iPhoneの音楽をYSP-4100で再生中。iPhoneを手元に置いておき、手軽に高音質なリスニングが楽しめる

iPhoneがリモコンに! 実に快適な音楽リスニングスタイル

 では、いよいよiPhoneの音を聴いてみよう。準備はiPhoneにYIT-W10を接続するだけ。iPhoneで音楽を再生すると、YSP-4100の電源が自動的にオンになり、YSP-4100からiPhoneの音楽が流れてきた。

 こうしたワイヤレス接続は、Bluetoothを利用したものもあるが、本機の場合は独自方式のためペアリングの必要もなく、素早く再生をスタートできる。例えば、iPhoneとヘッドホンで音楽を聴きながら帰宅して、家に着いたらヘッドホンを外してトランスミッターを装着するだけで、音楽再生が再開される。

 しかも、曲の選択はもちろん、音量の調整はiPhone側で操作するだけで、YSP-4100のボリュームが連動する。iPhoneがリモコンになったような感覚の使い勝手はなかなか魅力的。iPhoneの操作感そのままで、音だけがYSP-4100から出てくるわけだ。iPhoneならではのポイントとしては、電話が着信すると自動的にYSP-4100の音がミュートされること。これなら、突然の着信で慌ててしまうこともない。

着信時には、自動的にYSP-4100の音がミュートされ、電話を終えると自動で音楽も再開される。ミュートもスッと音量が下がり、ブツッと音楽が途切れないのも好印象

着信時には、自動的にYSP-4100の音がミュートされ、電話を終えると自動で音楽も再開される。ミュートもスッと音量が下がり、ブツッと音楽が途切れないのも好印象

 ワイヤレスだからiPhoneを手元に置いておけるのも便利。最近はミニコンポやiPod用スピーカーなども数多く登場しており、同様な使い方ができるのだが、iPodを本体にドッキングさせるため、操作はリモコンで行なうことになる。

 一般的なリモコンには、iPodのクリックホイールもないし、iPhoneのタッチパネル操作もないので、使い勝手は劣ることが多い。いっそiPodを直接操作したくなるが、いちいちスピーカーのそばに行くのも面倒だ。ワイヤレスなら、そんな煩雑さは一切ない。これは実に快適だ。


iPhoneの音を、より優れた音質で
7.1chサラウンドでも楽しめる!

YSP-4100のメニューにある「サウンド設定」の画面。トーンコントロールなどの音質調整のほか、低音感を高める「BASE EXTENSION」や「MUSIC ENHANCER」の設定ができる

YSP-4100のメニューにある「サウンド設定」の画面。トーンコントロールなどの音質調整のほか、低音感を高める「BASE EXTENSION」や「MUSIC ENHANCER」の設定ができる

「MUSIC ENHANCER」の設定画面。アナログ入力に適用することができ、それぞれの入力ごとにオン/オフを設定できる。iPod入力はオンで常用していいだろう

「MUSIC ENHANCER」の設定画面。アナログ入力に適用することができ、それぞれの入力ごとにオン/オフを設定できる。iPod入力はオンで常用していいだろう

 YSP-4100でのiPhoneを使った音楽再生は、ワイヤレスで音を出せるだけではない。ポータブルオーディオで使われる圧縮音源のデータをより豊かな音で楽しめる「ミュージックエンハンサー」も備えている。これは、圧縮により失われがちな高域成分や微小音などのデータを復元し、よりオリジナル音源に近い音を再現する技術。

 聴き比べてみると、圧縮された音源にありがちな音の痩せた感じがなくなり、自然で溌剌とした音になる。微小音の情報も増えており、声のニュアンスなどがより明瞭になる。

 音質にこだわる人だと、ポータブルオーディオは外出用と割り切り、家ではディスクの入れ替えが面倒でもCDを聴く人は少なくないが、ミュージックエンハンサーがあれば、質の良いオーディオでMP3などの圧縮音源を再生しても、音質的なダメージを気にすることなく、大量の曲を快適に切り換えて楽しめる。

 さらに、ベースやドラムをより迫力ある音で楽しめる「BASE EXTENSION」もある。深夜のあまり音量を出せないようなときなどに使うと、小音量でも聴き応えのある音質で楽しめるだろう。

「BASE EXTENSION」の設定画面。オフ/中/大を設定できる。個人的な印象では、音楽リスニングでは「中」がバランスが良いと感じた

「BASE EXTENSION」の設定画面。オフ/中/大を設定できる。個人的な印象では、音楽リスニングでは「中」がバランスが良いと感じた

 そして、iPhoneの再生時でもサラウンドでの再生が可能。独自のサラウンド技術「シネマDSP」により、ステレオ音声を元に7.1chのサラウンドが楽しめる。

 サラウンドにすると、音のステージが一回り広くなった印象で、左右の広がりだけでなく、前後の奥行きも増してくる。後方の音はことさらに存在を主張しないが、わずかなエコー感やホールの響きが豊かになり、包まれるような音になっている。

 そして、シネマDSPのモードは音楽だけでも「ミュージックビデオ」、「コンサートホール」、「ジャズクラブ」の3つがあり、音楽のジャンルや好みに応じて音場効果が選べる。残響やエコーによる演出が過剰で音楽を不鮮明にしてしまうこともなく、適切な音の響きを加えることでステージ感を描いていると感じた。このあたりの上手さはAVアンプなどで開発実績が大きく貢献しているだろう。


音楽リスニングも堪能できる!
真のホームシアターにふさわしい高品位なサウンド

 ホームシアター機器の多くは、メインソースである映画に向けたチューニングになっており、特にアクション映画の迫力をわかりやすく伝えるような音作りの場合、音楽を聴くと低音が過剰で高域もシャカシャカとにぎやかな音調になりやすい。

 しかし、YSP-4100は基本的な音質はむしろ音楽寄りの味付けかと思うほど、フラットなバランスで自然なサウンドにまとめられている。テストでは、iPhoneの圧縮音源だけでなく、CDなどの音も聴いてみたが、ボーカル曲でも声の質感が豊かで、強弱のニュアンスもしっかりと描かれる。

 聴きやすい音にまとめられていることもあり、音数の多さや解像度の高さはやや不足気味だが、ひとつひとつの音が活き活きとした躍動感のある音になっており、聴き応えは十分だ。機能としてiPodやiPhoneの音楽を快適に再生できるだけではなく、肝心な音質でもしっかりと音楽再生を意識して音を仕上げているのが、YSP-4100の最大の魅力と言っていいだろう。映画だけなく、ゲームも音楽も高品位なサウンドで楽しめる真のホームシアターだ。

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