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富士通フォーラム2010開催

一気通貫のクラウドに強み──富士通山本社長

2010年05月17日 06時00分更新

文● 花茂未来/インサイトイメージ

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富士通の目指す、ICT活用による社会貢献
その取り組みを体験できた展覧会

 基調講演で山本 正已氏が語った、富士通が目指すICTとクラウドの連携による様々な取り組みが、展覧会にて実際に展示・デモンストレーションされていた。展覧会は「ICT/クラウド」「インテリジェント社会」「環境」「経営/グローバル」「リスクマネジメント」「ユビキタス・フロント」の計6ブースに分かれており、それぞれ興味深いものを紹介していきたい。


ICT/クラウド

 富士通の目指すICT基盤を元に、次世代クラウドサービスを展示。Web操作によるオンデマンド仮想システムやSaaS型の人員育成システム、同社の有する東京証券取引所で採用されているミッションクリティカル系サーバー「PRIMEQUEST」、そして水冷システムを導入した次世代スーパーコンピューターなどが目を引いた。

SaaSを活用した訓練システムにより、訓練生の一元管理を実現。写真は南海電鉄でも採用されている鉄道運行シミュレーター

複数拠点のサーバーを1拠点にまとめ、機能をクラウド提供する試み。沼津開発センターですでに実践している

Web上でのドラッグ&ドロップ操作で仮想システムを構築、運用する新商品「オンデマンド仮想システムサービス」

IaaS型による映像配信システムの試み。写真は2D映像をリアルタイムで3D化して表示している様子

ひとつのワークフローを設定することで、運用管理を自動化。様々なアプリにも対応する柔軟性を持つ新製品

発表されたばかりのPRIMEQUEST1000シリーズ。筐体内でサーバーの分割/統合が可能。障害発生時も10秒以内にクラスタを切り替えて通常稼動する

8万CPU(64万コア)で10ペタフロップスを目標に開発中の次世代スーパーコンピュータ。水冷システムを採用し、メンテナンスは1年に1度で大丈夫とのこと。CPUは2GHz動作で消費電力は約58W、1つのシステムボードに4CPUを搭載でき、写真左のラックに24枚のボードを収納している


インテリジェント社会

 一般生活を送る上で役立つ地域情報や、医療分野など人々に安心を与える各種技術を紹介。車の安全性を高める世界初のマルチアングル全周囲モニターを搭載したプリウスが展示され、注目を浴びていた。

車体の前後左右に搭載した計4つのカメラ映像を合成することで、世界初の全周囲視野を実現した「マルチアングルビジョン」。エンジン始動時に周囲を確認する画面が表示されるほか、時速12km以下になると自動で写真右の画面が表示される。5月6日よりプリウスなどの車のディーラーオプションとして提供している

幼児に似せた子ぐま型ソーシャルロボット。人の顔、音声を認識し、13ヵ所に設置された皮膚タッチセンサーで子供のような仕草をする

電子カードホルダーに診察券を差し込むだけで、受付が完了して診察待ち人数が分かるシステム。電子カルテシステムとの連動が可能で、通信エリア内にいればタイムリーな患者位置把握と呼び出しが可能

地域住民が携帯電話やPCを用いて、新聞社などに記事を送信できるシステム。より地域に密着した記事を豊富に提供できるメリットがある

「企業的」な農業をサポートするサービスの試み。写真の土壌センサーで畑の状態をタイムリーに把握し、電力はソーラー発電のみで補う。大規模な農場の管理システムやGPS端末による人員の勤怠管理、畑の状態の報告ができる

施設内の消費電力を見える化するシステム。電力メーターの情報をネットワーク経由で一括収集することができる


環境

 昨今問題になりつつある環境問題。企業にとってもCO2削減や省エネルギー化は大きな課題のひとつだ。このブースではそうした環境負荷低減に効果を発揮する製品を中心に扱っていた。

リチウムイオン・キャパシタにより、瞬間的な電力供給の落ち込みに対しても安定した電力供給を実現。バッテリーではなく巨大なコンデンサーのようなもので、たとえばデータセンターのサーバーと電力供給源の間に挟むだけでデータ破損のリスクヘッジにつながる

PCの電源OFF時でも、電源スイッチなどを動作させるため5W程度の消費電力を消費するが、これを0WにしたPC。電源にミソがあり、電源OFF時には完全に電気を遮断。スイッチ類の動作はマザーボード上のボタン電池から供給する仕組み

東京大学差何行技術研究所と共同開発したサーバー用に向けた省エネ静音ファン。ファン内には順回転する羽と逆回転する羽があり、空気を圧縮して押し出すことで低回転での風圧を確保している


経営/グローバル

 企業経営に関するICT環境の最適化や強化についての支援技術について展示。少ない投資で実現できるビジネスインテリジェンスシステムやユニバーサルコミュニケーションを可能にする技術を紹介していた。

特別な支援を必要とする子どもたちのための携帯アプリ群。写真は携帯カメラで撮影した画像にカーソルを合わせると、音声で「色」を教えてくれる携帯アプリ。すでに無償で提供中。他にも漢字の書き順などの教育を支援するアプリを開発中

ビジネスインテリジェンスを支援するオンデマンド型の新サービス「SAP BusinessObjects BI OnDemand」。画面上でスライドバーを上下させるだけで利益率や各部門の収入などを見える化し、瞬時に把握・分析することができる


リスクマネジメント

 ECOを意識したヒューマンセントリックで的確な職場マネジメントシステムや、監視システムを展示していた。

監視カメラなどの映像から、人を検知するシステム。不審者が指定の領域内に入ると時間経過とともに警戒度があがり、警戒度に応じてアラームやメール通知が可能。また、写真のようにカメラの視覚内を区分けし、人の滞在時間を赤色で視覚的に、また秒数でも記録する。店内のカメラと連動させれば、どの商品棚に人が集まったか把握できる

オフィスのコンプライアンスやICT資産、セキュリティ、エコ対策をマネジメント視点で一元管理する「オフィス・マネジメント・ソリューション」試み。画面では、プリンターから出力された資料がWordなど、どのソフトからのものか見える化している様子。特定資料の印刷過多などを把握・指摘することなどができる


ユビキタス・フロント

 生活や社会を楽しくする技術を中心に展示。富士通が開発した世界初のセパレートケータイの応用事例や今話題の3D対応パソコンなど、エンターテインメント性をもった技術が人気を博していた。

富士通が発売中の世界初のセパレート携帯電話「F-04B」は、内蔵センサーで正しいゴルフスイングの指導をしてくれる。今回はそれを応用し、正しいウォーキング・フォームを指導してくれるデモンストレーションを行った。ウォーキング後には点数と改善ポイントを指導してくれる

業務用スマートフォン。バーコードリーダーの読み取り機能が向上し、バーコードがどの角度を向いていても読み取ることができる。通常横方向から読み込むバーコードを、縦方向から読み込んでみたところスムーズに認識した

3Dカメラと3D液晶ディスプレーを搭載したPCの試作機。液晶ディスプレー上部に2つのカメラを搭載し、3Dでの撮影が可能。相手も同じPCを所有していれば、3Dのビデオチャットが可能になり、遠距離でもさらに密接なコミュニケーションを取ることが可能で、富士通もそこを目指しているという

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