VIAチップセットの歴史 その2
ライバルの台頭で失速したVIAのAMD向けチップセット
2010年05月17日 12時00分更新
S3やTridentのGPUを内蔵した
K7時代のグラフィック統合チップセット
一方、グラフィック統合チップセットについては、まず2000年9月にKT133に「Savage 4」を統合した「KM133」を投入。ここから外部AGPを省いた「KL133」が、2000年10月に登場。続く2001年4月には、KM133を133MHz FSB対応とした「KM133A」がリリースされる。
また、エントリー向けCPU「Duron」向けには、KL133でもまだ高価ということからか、これらとは別にKT133AにTrident社の「Blade 3D」GPUコアを統合した「KLE133」が、2001年5月にリリースされた。
こうした第1世代と並行して、2000年12月にはKT266に「ProSavage 4」GPUコアを統合した「KM266」が登場。2002年6月前後には、KT333にやはり「ProSavage 8」を統合した「KM333」が市場投入される(ただし、これのみ投入時期がはっきりしない)。しかし、2001年6月にNVIDIAが「GeForce 2 MX」を統合した「nForce 220/420」シリーズを投入していた関係で、KM333以降のグラフィック統合製品は、どうしても苦戦を強いられることになる。
2003年4月にはKT400Aに「UniChrome」を統合した「KM400」を、8月にはKT600にUniChromeを統合した「KM400A」をそれぞれリリースするが、KM400はともかくKM400Aについては完全にバリュー向けと割り切ってか、DDR-400のサポートを外すという、スペック的には退化とも思えるものになっている。このKT880とKM400Aをもって、VIAのK7向けチップセットは終了した。
K8向け製品をリリースするも、上はNVIDIA、
下はATIとの戦いに敗れる
続くK8向けチップセットは、まず2003年4月に、初の製品である「K8T800」をアナウンス。同年末には「UniChrome Pro」を統合した「K8M800」がアナウンスされる。しかしアナウンスはともかく、製品が出てきたのはもう少し後であり、NVIDIAの「nForce 3」シリーズにやや遅れをとることになった。
続いて2004年2月には「K8T800 Pro」をリリースし、正式にSocket 939に対応。同年9月にはPCI Expressに対応した「K8T890」をリリースする。K8T800 Proはそれなりのスペックで、ハイエンドとは言わないまでもメインストリーム向けにそれなりに採用されたが、K8T890は同時期に投入されたNVIDIAの「nForce 4」と真っ向勝負となり、やはり敗れ去れる(関連記事)。機能や性能もさることながら、やはりハイエンドのnForce 4 SLIの持つDual Graphicsというインパクトは大きく、K8T890では到底勝負にならなかった。
ただ面白いことに、nForce4系はローエンドの「nForce 4」(無印)でもまだ機能が多すぎ、バリュー向けというよりはメインストリームの上の方向けといった扱いになっていた。そのため、結果的にメインストリーム向けの下の方やバリュー向けが手薄になり、このマーケットに向けてVIAの採用例が増えることになる。
ただ、このマーケットはVIAのみならず、SiSやULiも製品を投入しつつあり、またATIの「Radeon Xpress」なども参入してきたことで非常に苦しい市場であった。それから1年あまり経過した2005年11月、一応Dual Graphics(x16レーンをx8+x8に分割できる)機能を搭載した「K8T900」をリリースするものの、対応できるGPUがS3のChrome系のみで、NVIDIAのSLIもATIのCrossFireも動かないとあっては、それほど魅力のあるものとは言い難かった。
結局VIAはこのK8T900で、K8向けチップセットからも撤退することになる。ちなみにK8T900リリースの直前には、K8T890に「Chrome 9」GPUコアを統合した「K8M890」もリリースしたのだが、こちらもATI「RADEON Xpress 200」やNVIDIA「GeForce 6100」シリーズに及ぶものではなく、やはりごく限られた採用例に止まることになった。
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