売っている人の顔が見えるサイト
―― というところで翻ってみると、nauのスタートアップのカタログはそんなに多くないですよね。正直言って、すごく偏っている気がするんですけど。
小寺 nauは僕を含めた5人のスタッフが「ぜひ売りたい」と思ったものだけを置いているんです。お互い、楽しんで音楽をやっていきたいから。売りたくもないものを、お金のためだからと売る努力をするなんて、楽しくないじゃないですか。
―― つまり小寺さんたちの「編集センス」によるレーベルと言うことですか?
小寺 まあ、そういうことになりますね。でも、アーティストは常時募集中です。我こそはと思う人はぜひ連絡してきてほしい。音楽以外にも、データで売れる作品は何でも扱いますから。マンガでも映画でも小説でも何でもいいです。
―― nauに対するクリエイター側の反応はどうですか?
小寺 まだ始まって間もないうちに、発表初日からいろんな方が応募してきてくれて、僕も驚いています。すでに「超」がつくほどメジャーなミュージシャンも含めて、色んな方が参加の意思を送ってくれていて、そういう人たちには実際に会って意見を伺ってます。どうなるのか自分でもワクワクしているし、毎日が楽しくてしょうがない。
―― 「アカウントを登録すれば誰でも使える」という有料音楽配信サービスは、国内外にいくつかありますよね。それとは何が違うと思いますか。
小寺 売っている人の顔が見えることだと思います。今までずっと裏方で仕事をしてきたわけですけど、今回はかなり意識的に自分の名前を出してやってます。別にこの年齢で目立とうってわけじゃないんですけど。ネットでやってても、大昔からの商いと同じで、それにはお客さんへの信用がいると思うので。
―― 顔といえば、これ、買った人のTwitterアイコンが表示されるんですね。
小寺 そうなんですよ。作品のページに飛ぶと、誰が買ったかが分かる。「この作品を買ったこの人が、あの作品も買っている」のが分かる。そこでユーザー同士のゆるいつながりができればいいなと。もちろんそういうのが嫌なら、非表示にすることもできます。
―― もうひとつ。「nau boys & girls collection」という、ユニクロの広告みたいなページがあるんですけど。
小寺 あれおもしろいでしょ。そこでnauのTシャツも売ってるんです。Tシャツを買ってくれた人は、自分が着ている写真を撮って送ってくれたらここに載せますよ、というもので。「データを送ればnauに参加できる」ということを楽しんでもらおうという、僕らも参加して遊んでるんですけどね。
―― 似たようなネットレーベルは次々に出てくると思いますよ。
小寺 むしろ、どんどん出てきてほしいですね。僕らのようなやりかたが面白いということになれば、リスナーもダウンロードで買うことに慣れてくれるし。その時にnauは「あの人がやっているから買う」というサイトになっていればいいんだと思います。
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