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ネットは作家が成長できる場所 人気絵師・ゆのみさんが語る

2010年05月15日 12時00分更新

文● ノトフ

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ニコニコ動画の「続き」は見た人が考えてくれるのがいい

―― マンガを作るときと、PVを作るときの違いってありますか?

ゆのみ 漫画はイチから全部自分で作りますけど、PVを作るときは歌詞がストーリーの内容になりますよね。それに音のリズムがあるので、歌詞とリズムを合わせて、内容とカット割りを考えていきます。曲を聴いたときに完全に映像が頭の中に流れてくるので、それを紙に書き出して映像にするっていう作業です。

―― 曲を聴きながら、「このサビのこの瞬間ならこの絵かなー」みたいな?

ゆのみ はい。

―― さらっと言いますけど、すごいことですよね。それはコンビニを作る前から、音楽を聴いているときはそうだったんですか? 映像でものを考えるタイプというか。

ゆのみ そうですね……そこまで細かくコマ割を考えたりストーリーを考えるってわけではないんですけど、聴いてると絵や映像が浮かんでくる、というのはありました。

「聴いてると絵や映像が浮かんでくる」

―― マンガやオリジナル作品のときのアイデアの源泉になるものってどんなものです? 思い出とか、経験とか。

ゆのみ いや、そういうのはあまり反映しないですね。ああ、こういうことがあったらいいなとか、こういうセリフがあったら格好いいなとか。そういう自分が描きたいもの、あったらいいなっていうものが元になって、どんどんひろがっていく感じです。

―― ちなみに「コンビニ」完全版をゆのみさんが漫画化、なんてことはどうですか。

ゆのみ たしかに、あの話の続きを知りたいってよく言われます。でもPVは曖昧に終わらせて、見る人がどうとでも想像できるように作ってるんですよね。曲にもハッキリとした結末っていうのは描かれていないので、あのPVをご覧になった方に、それぞれ「その後のストーリー」っていうのがあると思うんですね。

―― 見た人それぞれの「コンビニ」がある状態ですね。それを尊重したいと。

ゆのみ そういう状態で私が続きを描いちゃうと、それが答えみたいになっちゃうので、完結させちゃだめなのかなって思います。なので「コンビニ」の漫画は描いてないし、今のところ描く予定はありません。……本当は描いてみたいんですけどね(笑)。

―― では、これからPVで挑戦したいジャンルはありますか?

ゆのみ これから制作に入るPVがあるのですが、それがまさに挑戦したかったジャンルです! これまではキラキラした感じで、少女漫画、女の子、可愛くてキレイ……って感じだったんですけど。今度作るのは全然違います。色も内容も、暗いです。

―― おー! イメージが違って新ジャンルですね。いつ頃完成予定になりますか?

ゆのみ 秋くらいになるかと。

―― うおー! 長い!

ゆのみ (作曲家との間で)時間をかけて作ろうということになっているので。私にとっても新しいジャンルですが、「ボーカロイドPV」としても、今までなかった形の作品になるんじゃないかと思っています。みなさんに楽しんでいただけるようがんばります。

―― 1つのPVにそこまで時間をかけてると、飽きたり、ダレたりしませんか?

ゆのみ 自分からやりたいと思った作品については、ないと思います。「Just Be Friends」を作ったときも、「Just Be Friends」漬けでまるまる二ヵ月かかってます。通勤の間も、ずーっとそれしか聴いてませんでした。

「Just Be Friends」

―― ずっと曲のイメージをかためていくんですね。

ゆのみ そうですね。頭の中で映像が自動再生される状態で作ってました。

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