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西田 宗千佳のBeyond the Mobile第47回

ポップにリニューアルされた新VAIO Pは何が変わった?

2010年05月13日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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VOMモデルでは「US15X」も搭載可能
パフォーマンスより「用途」重視か

 冒頭で述べたように、今回試用したのは、VAIO Pの中でも店頭販売モデルにあたる「VPCP119KJ」だ。

 これまでもVAIOでは、CTO方式で販売される「VAIO OWNER MADE」モデル(VOMモデル)と通常の店頭販売モデルの間にスペックの違いが存在したが、今回のVAIO Pは特に顕著だ。同じVAIO Pではあるが、店頭販売モデルではチップセットが、従来機種と同じ「Intel SCH US15W」のみとなるが、VOMのカスタマイズモデルでは、性能を上げた「US15X」が選択できる。

 US15Xは、内蔵GPUクロックがUS15Wの200MHzから266MHzに高速化されているため、グラフィック周りの速度が向上しているものと期待できる。残念ながら今回は店頭販売モデルなのでその差はわからない。VAIO Pで使われるAtom Z系プラットフォームでは、特に描画速度が問題になることが多い。その点で改善が図られているとすれば、やはり見過ごせないだろう。ただし逆に言えば、US15Xの改善点はそのくらいにとどまるようなので、パフォーマンスを重視しないなら魅力は薄いかもしれない。

 試用した限りでは、US15W採用の店頭販売モデルのパフォーマンスは、VAIO XやVAIO P旧モデルと大差ない。旧モデルには、店頭販売モデルなどにHDDモデルがあったが、SSDのコスト低下もあり、今回は全モデルSSDになった。これはパフォーマンスにプラスだが、スペック上の変化ではない。

 スペックにこだわるなら、店頭販売モデルよりはVOMモデルを選ぶべきだろう。ちょっとしたことだが、今回からVOMモデルでは「3Gモデム」と「WiMAX/無線LAN」の両方を搭載することも可能になっており、選択のジレンマが減っているのがうれしい。

 とはいえ、動作クロックがあがったといってもGPUが「GMA500」であることに変わりはないので、US15X搭載モデルでもVAIO Pの「速度はそこそこ」という評価は変わらないだろう。テスト機でのWindows エクスペリエンスインデックスのスコアは「2.3」。足を引っ張っているのは完全にCPUだ。発熱が大きめであるのも、常に負荷が重いためと考えていい。

Windows エクスペリエンスインデックスの値 Windows エクスペリエンスインデックスの値は「2.3」。CPUが足を引っ張っているが、グラフィックも数値ほど性能が高い印象は受けない

 他方で、設計をリニューアルした効果として、バッテリーの増量が挙げられる。標準添付バッテリーでも、「BBench」でのテストでは通信しながらで4時間弱。別売の大容量バッテリーならば、計算上7時間半を超える。これならモバイルマシンとして十分納得できる範囲といえる。旧機種に比べると、通信しながらの実働で最低でも1時間は動作時間が伸びることになるので、買い換えユーザーには、そこが最大の魅力といえるだろう。

バッテリーは20%程度容量が増えた バッテリーは20%程度容量が増えた。Lバッテリーなら10時間を超える動作も可能だ。ACアダプターは小さく、持ち運びも苦にならないだろう
省電力設定 パフォーマンス設定
約3時間50分 約2時間45分

 逆に言えば、機構的にも性能的にも大きな進化がない今回のVAIO Pを選ぶか否かは、「デザインが気に入ったか」「センサー系機能に惹かれるか否か」が分かれ目、ともいえる。このサイズのPCを出すメーカーが少ない現状では、1年半前の初代モデル登場時と同じく、「このサイズ感のPC」では最も良くまとまった機種であることに変わりはない。

 もちろんVAIO Pは小型とはいえ、携帯電話機とは性格が異なる機器だ。だからセンサー系の進化は、PCとしての機能を重視する人には魅力が薄いと感じるかも知れない。だが、一般的な形状のPCがどんどん陳腐化し、iPadのような製品も登場する今は、「サイズなりの特質を備えている」ことが重要になっている。1年半後のVAIO Pの進化点がセンサーに集中しているのは、CPU関連の事情以外に、そういった部分が大きい、ということなのだろう。

 「持ち歩いて使う価値をどう演出するか」がこれからのテーマになりそうだ。その意味では、センサーを使った「ほかにないソフト」がひとつくらい欲しかった気がする。

お勧めする人
・完成度の高い「キーボードサイズ」のPCが欲しい人
・iPadやスマートフォンでなく「PC」にこだわりがある人
VPCP119KJ の主な仕様
CPU Atom Z530(1.60GHz)
メモリー 2GB
グラフィックス US15Wチップセット内蔵
ディスプレー 8型ワイド 1600×768ドット
ストレージ SSD 64GB
無線通信機能 WiMAX、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 2.1
インターフェース USB 2.0×2、ヘッドホン出力など
サイズ 幅245×奥行き120×高さ19.8mm
質量 約619g
バッテリー駆動時間 約5.5時間
OS Windows 7 Home Premium 32bit版
予想実売価格 10万円前後
発売予定日 5月22日

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング仕事術」「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)。


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