IAサーバーの限界を打破するeX5
IAサーバに関しては、システム製品事業 システムx事業部長の小林 泰子氏が説明を行なった。
同氏は、「爆発的にデータ量・トランザクション量が増えている現状において、PCアーキテクチャーは、すでに限界に到達」していると指摘し、「x86サーバーの次世代標準が必要」だと語った。その具体像となるのが、メモリとI/Oのボトルネックの解消を狙った「eX5」だ。
eX5対応のサーバーでは「MAX5(Memory Access for eX5)」と呼ばれるメモリー拡張ユニットを併用することで最大3TBの物理メモリを搭載できる。プロセッサーの64ビット化の駆動力となったのが、「もやは32ビットアドレス空間では足りない」という認識だが、実際には64ビット化されてもさほど劇的にはメモリ量は増やせず、比較的すぐに頭打ちを迎えている。その理由は、物理的にメモリ搭載のためのスロットがない、さらにいえば、プロセッサやチップセットが対応していない、という点が制約条件になっているためだ。
eX5が「次世代のPCアーキテクチャ」を標榜するのは、こうした制約を取り払い、十分なメモリを活用する道を拓いたからだ。業界標準のコンポーネントを組み合わせ、強力な演算能力を安価に製品化することがIAサーバーの強みではあったのは間違いないが、限界に近づいているというのもまたうなずける指摘だ。今後もIAサーバーが発展を続けるためには、特にメモリ周りのボトルネック解消が直近の課題であり、実は昨今各社が各様に取り組んでいるテーマでもある。中でもeX5の最大3TBというのはずば抜けた大容量であり、次世代標準アーキテクチャを名乗る資格は十分に備わっているといえそうだ。
データ量の増大に対応するXIVテクノロジー
最後に登壇したシステム製品事業 ストレージ事業部長の山崎 徹は、最新世代の「IBM XIV Storage System」の技術を紹介した。データ量の増大に対応するためのストレージシステムの革新の必要性について同氏は、「GB時代のテクノロジーからTB(テラバイト)を経て、PB(ペタバイト)までの拡張ができるテクノロジーに」とした。ここでの「GB時代のテクノロジー」とはご存じRAIDであり、XIVではRAIDとは異なるアーキテクチャでデータの冗長性を確保していることを指して「TB、PB時代のテクノロジー」だとしている。
XIVでは、従来のRAIDに代わる特許技術の自動分散配置アルゴリズムを採用している。ストレージ筐体内部のHDDを最大15のデータモジュールに分割し、記録されるデータは1MB単位のストライプに分割され、必ず異なるディスクにミラーリングされて記録される。内部的にグリッド型の分散ストレージとなっており、容量の拡大なども容易に行なえるデザインとなっている。RAIDとは異なり、ディスクの増減があった際にパリティを再計算するといった余分な負荷は発生しない。シンプルだが効果的なアーキテクチャとなっている。
データ量の増大や処理の複雑化など、ITシステムが現在直面している課題に関しては、業界各社がほぼ共通の認識を持っているといえるが、解決策を提示できる企業はさほど多くはない。IBMは、プロセッサーからソフトウェアまで、主要コンポーネントを一通り自社開発する力を維持する数少ない総合ITベンダーであり、先端技術開発でもリーダー的なポジションに有り続けているだけのことはあると改めて感じさせるだけの技術を揃えていることが伺えた。