ASCII.jpの読者なら「初音ミク」といって知らない人はいないだろう。
彼女は、日本におけるCGMの歴史で外せない存在だ。2007年8月31日に発売されて以来、その声質やパッケージイラストに触発されたユーザーが楽曲やイラストを作成。ニコニコ動画やPixivといったコンテンツ共有サービスに投稿してさらにファンを増やし、今ではライブやカラオケ、ゲーム、フィギュア、コスプレ、スーパーGT、痛車……。数えきれない形で世の中に受け入れられてきている。
その初音ミクの追加音声である「MIKU Append」が、クリプトン・フューチャーメディアから4月30日に発売された。(Amazon.co.jpで見る)
甘くささやく「SWEET」、憂鬱な表情の「DARK」、おしとやかな「SOFT」、明るくさわやかな「LIGHT」、はきはきした「VIVID」、緊張感のある「SOLID」という6つのライブラリーのセットで、オリジナルの初音ミクと合わせて使うことでより多彩な表現が可能になる。
ただ、このAppendは今までの初音ミクとは、ちょっと雰囲気が異なる。端的なのはパッケージだ。イラストレーター・Kei氏の描いたオリジナルを採用せずに、フィギュアの原型師・浅井真紀氏が造形を行ない、その画像を元にねこいたさんがデジタルイラストを起こすというかなり手の込んだことをしている。
初音ミクが誕生して2年と10ヵ月。なぜこのタイミングでAppendを出すに至ったのか。今回、クリプトンで初音ミクのプロデュースを担当する佐々木渉氏と浅井氏に取材をお願いして、そんな問いを投げかけてみたところ……。返ってきたのは「よく分からないことを提案したかった」という言葉だった。
さらに興味深かったのは、浅井氏が単なるパッケージデザインという仕事を超えて、佐々木氏と半年以上に渡って「ものづくり論」を交わして、Appendのバックグラウンドを作っていったということ。二人のクリエイターは、初音ミクの世界をどう解釈しているのか。そして初音ミクはどこに向かうのか。このロングインタビューで、余すことなくお伝えしよう。
