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松村太郎の“モバイル・ネイティブ”時代の誕生を見る 第7回

これは生活へのモノリスだ!~iPadで気になる5つのこと

2010年05月06日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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iPadで気になること その5
結局のところ、売れそうなのか、そうでないのか

 NTTドコモは4月28日に開かれた決算説明会で、iPad向けのmicroSIM(ドコモの山田社長はミニSIMと呼んでいたが)を提供することを発表した。SIMロックフリーで提供されるはずのiPadは、NTTドコモに限らず、ソフトバンクからもSIMが提供されることが予想されるが、ひとまず3G版iPadをネットワーク環境的に、最も快適に利用できる国はおそらく世界中見渡しても日本になるだろう。

 ドコモは同じ会見で、iPadのことを「高級ネットブック」と称していた。この呼び方については、Twitterでは否定的な言い方も多かった。ネットブックという言葉がそもそも定着していない、ネットブックは死語だ、という指摘は確かにもっともなのだが、この呼び方があながち外れてもいないと思う(個人的には、いわゆる“ネットブック”とはもちろん全然別物だと思うけれど)。

 というのも、そもそものネットブックの理想は、電源を立ち上げたらすぐにネットにつながっているデバイスである。市販されているネットブックの多くは、3Gの通信アダプタや無線LANがないとネットにつながらない。

 iPadの3Gモデルは、おそらくはiPhoneと同じようにスリープを解除すればもうネットにつながる状態になっているはずだ。ネットブックの中には3Gモジュールを内蔵したモデルもあるが、それらのようにダイアルアップ接続する必要すらないのだ。より理想的なネットブックであるとの指摘は確かに納得できる。

 しかしネットブック以上のポテンシャルを感じる経験も同時にあった。

 カフェで、空港で、飛行機の中で、iPadをアメリカでリリースされた週に使っていたが、お世辞にもテクノロジーに強いとはいえない女性の店員さんや飛行機の乗務員さんみんなが、「それは何?」ではなく「iPadですね」と名前を知っている。そして何ができるかも知っていて、「欲しいと思っていたので早く見たかった」と口をそろえる。

 非常に高い認知度と使い勝手のハードルの低さを見ると、これまでのネットブックと同等か、それを超えるような販売数を目指すこともできるのではないだろうか。日本では5月10日予約開始、5月末に販売開始を予定している。いわば生活に舞い降りてくる「モノリス」のような体験に触れてみてはいかがだろうか。


筆者紹介──松村太郎


ジャーナリスト・企画・選曲。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。嘉悦大学、ビジネスブレイクスルー大学でも教鞭をとる。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。スマートフォンに特化した活動型メディアAppetizer.jp編集長。自身のウェブサイトはTAROSITE.NET


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