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ライセンス体系の整理や機能強化も

VDI分野でもシトリックスと組むマイクロソフト

2010年04月27日 09時00分更新

文● 渡邉利和

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ユーザーに豊富な選択肢を提供

 中川氏によるとデスクトップ仮想化といった場合に、サーバからの配信に基づく「リモート」と、クライアントPC上で仮想化技術を組み込む「ローカル」に大別でき、さらにそれぞれの仮想化対象として「ハードウェア」「OS」「アプリケーション」といったレイヤの違いを考えることができると整理した上で、「いずれの技術にもメリット/デメリットがあり、どの技術を採用するかはユーザーの選択」「マイクロソフトは、あらゆる選択肢に対応できる製品を用意する」と語った。

「リモート」は、サーバ上で実行するソフトウェアのUIをクライアントに転送する技術

「ローカル」はクライアントPC情で仮想化ソフトウェアが動作し、その上で仮想化されたソフトウェア・イメージが実行されるタイプの技術

 また、日本語環境に対応した最新のMED-Vのデモンストレーションも行なわれた。アプリケーションの互換性問題や、検証の負担を回避したいという要望を持っている企業ユーザーからはWindows 7の“XP Mode”が移行負担を軽減できるソリューションとして注目されているそうだが、大規模環境でXP Modeを利用する場合は、コンピュータ名やドメインの参加設定などをユーザー側で実行しなくてはいけなくなるなどの問題も生じていたという。たとえば、XP Modeの用途の多くを占める“IE6の継続利用”では、IE6でないと上手く表示できないWebアプリケーションの実行環境として使われる例が多いという。そこでMED-Vでは、URL指定などでIE6で表示するページをあらかじめ指定しておき、Windows 7のIE8環境との使い分けを支援する。デモでは最新のMED-VがXP Modeで見られたこれらの問題をどのように解決しているか、という点に焦点を当てた機能紹介が行なわれた。

MED-Vでは、URL指定などでIE6で表示するページをあらかじめ指定しておき、Windows 7のIE8環境との使い分けを支援する

設定内容を一覧したところ。コンピュータ名やドメインへの参加について設定できることがわかる

 また、コンピュータ名に関しては、ホストOSに付与されているコンピュータ名を一部に組み込んだユニークな名前を自動生成でき、ドメインへの参加設定もサーバー側であらかじめ済ませておくことができるなど、企業環境での運用に対応した設定が大幅に増えていることが示された。

理想的なVDIを共同で提供

 発表会には、協業パートナーであるシトリックスのマーケティング本部 担当部長の竹内 祐治氏も登壇し、シトリックスとマイクロソフトの協業に関して「両社の協業で理想的なVDIソリューションが提供できる」とコメントしている。

シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部 担当部長 竹内 裕治氏

 なお、Citrix XenDesktopでは単独で導入可能なフルセットのソリューションであり、技術面ではマイクロソフトが提供する技術/製品と重複するのではないかという質問も出たが、これに対しての回答として、「クライアントごとに個別の仮想OSイメージを用意して1対1で配信するならMED-Vだけで実現可能だが、Citrix XenDesktopでは1つの仮想OSイメージを多数のクライアントに対して配信することができるなど、大規模環境への対応は強化されている」などの点が指摘された。

現時点でのマイクロソフトとシトリックスのデスクトップ仮想化製品を組み合わせて構築できる“フルセット”のシステムイメージ

 Citrix XenDesktopも先にWindows Server 2008 R2専用に開発された新バージョンが発表されており、Windows環境との親和性がさらに強化される方向にあるが、現時点での組み合わせ方の目安としては、小規模ないしは導入初期はマイクロソフトの仮想化製品でまず環境を構築し、大規模化する段階でXenDesktopを追加することで管理負担の増大を抑制する、という方向に落ち着きそうだ。

 シトリックスとマイクロソフトの協業関係は、MetaFrame/Windows Terminal Serverの時代から連綿と継続しており、かつシトリックスはこの分野の技術面でのリーダー的存在である。この両社が連携をさらに強めることで、サーバ仮想化の分野では大きな存在感を持つヴイエムウェアもデスクトップ仮想化の分野に関しては今後苦戦を強いられることも予想される。

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