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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第49回

NVIDIAチップセットの歴史 その4

インテル向けNVIDIAチップセットの現状と今後

2010年04月26日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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nForce 500以降のインテル向けNVIDIAチップセットロードマップ
nForce 500以降のインテル向けNVIDIAチップセットロードマップ

実は同じ? nForce 740i/730iと
GeForce 9400/9300 mGPU

 740i/730i登場の1カ月後にリリースされたのが、「GeForce 9400 mGPU」と「GeForce 9300 mGPU」である。GeForce 9000番台の型番が付いているが、中身そのものはAMD向けに発売した「GeForce 8100/8200/8300」と変わらない。こちらは「MCP7A」というコード名で知られていたチップセットで、おおむねスペックもAMD向けと同等だ。

GeForce 9300 mGPU GeForce 9300 mGPU

 唯一の違いはGPUコアの性能で、GeForce 9400 mGPUがコア530MHz/シェーダ1.4GHz、GeForce 9300 mGPUがコア450MHz/シェーダ1.2GHzで動作するようになっている。

 nForce 740i/730iとGeForce 9400/9300 mGPUの違いだが、細かなスペック上の違いはあるものの、本質的には同一と考えられる。一応NVIDIAとしては、AMD向けと同様に「GeForce系列はMicroATXのフォームファクタに最適化したもの、nForce系列はATXとMicroATXの両方に使えるもの」という区分けをしているようだが、機能的にほとんど変わらない。

 また、nForceにもHDMI/Dual Link DVI/DisplayPortといったビデオ出力インターフェースを搭載しているので、ビデオ出力の有無で差別化できるわけでもない。正直この当時のNVIDIAのマーケティングが考えていたことが理解できないのだが、一応何らかの差をつけたかったらしい。

 そういうわけで、コード名も実は同じである可能性がある。実際、MCP7Aというコード名はかなり前から使われていたコード名であり、対してMCP79の方は出たり消えたりしていた。察するに、当初はMCP7Aで開発を進めており、そのうちnForce向けに関してはコード名を分けようということで、これをMCP79に切り替えたのではないか、と筆者は考えている。


IONの登場とインテル向けチップセットの今後

NVIDIA資料にあるION搭載マザーボードの例 NVIDIA資料にあるION搭載マザーボードの例

 このMCP7A系の最後の製品が、2009年4月にリリースされた「ION」と、同年9月にリリースされた「ION-LE」である。IONは基本的にMCP7Aをそのまま持ってきているが、接続するCPUは533MHz FSBのAtomのみで、省電力性が重視されるため、メモリーを1チャンネルに削るとともに、インターフェース類の見直しなどを図ったサブセットと考えればいい。

 ION-LEはIONの省機能版であるが、DirectX 10のサポートが削られている(無効化なのか、ドライバーが未サポートなのかは不明)ほか、シェーダーの数が「最高16」という微妙な表現になっている(IONは16)あたりが主な相違点だ。ちなみに、GeForce 9400Mコア搭載とロードマップ図には書いているが、コア450MHz/シェーダ1100MHzなので、正確にはGeForce 9200程度のスペックになるというべきだろう。

IONを採用したシステム構成の例 IONを採用したシステム構成の例

 ということでインテル向けのチップセットを説明し終わったところで、次世代製品についても簡単に触れておこう。とはいえ、こちらもまたAMDと同じく、先が見えないものになっている。

 まずインテルはFSBを撤廃し、QPIあるいはDMIで接続されるCore iシリーズに製品ラインを移行しつつある。インテルはQPIやDMI用のバスライセンスをNVIDIAに供与することを拒んでおり、この結果としてNVIDIAは、FSB方式のCore 2やその派生製品向けチップセットしか提供できない。「2011年末の時点においても、インテルの出荷量の半分以上はFSB方式の従来型CPUが占める」なんて予測もあるため、もちろん短期的にビジネスが終了することはないが、長期的展望が立てにくい状態にある。

 これはAtom向けも同じで、Atomの次世代製品はGPUをCPUコア側に統合する形で製品展開を進めている。そのため「ION2」はチップセットというよりは独立GPUという構成になっており、今後もこうした形での提供が続くと思われる。

 こうした動向を考えると、NVDIAがTegra系のARMベースSoCに傾倒してゆくのも故無き話ではないし、実際PC向けチップセット市場における今後の展開はなさそうに思える。もちろんNVIDIAは引き続きインテルと交渉しているようで、今後の展開次第では、再びインテル向けチップセットの市場向けに製品を投入するようになる可能性は皆無ではない。逆に言えば、その程度の可能性しかないとも言えるだろう。

今回のまとめ

・2006年11月に登場した「nForce 600i」シリーズは、その前身である「nForce 500シリーズ」 Intel Editionのわずかな改良版にすぎなかった。

・2007年9月には、インテル向け初のGPU内蔵チップセット「GeForce 7000+nForce 600」シリーズが登場する。ただしGPUコアはGeForce 6世代のNV44コアだった。

・2008年9月に登場した「nForce 740i/730ii」と、その直後に登場した「GeForce 9400/9300 mGPU」は、微妙な違いはあるものの中身はほぼ同じであった。どちらもDirectX 10世代のGPUを内蔵する。

・2009年登場の「ION」シリーズが、インテル向けチップセットしては現状最後の製品となっている。Core i向けのバスライセンスが得られない限り、NVIDIAのインテル向けチップセットビジネスは先が見えない状況に置かれている。

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