NVIDIAチップセットの歴史 その4
インテル向けNVIDIAチップセットの現状と今後
2010年04月26日 12時00分更新
2チップ構成の最後を飾るnForce 790/780/750
2008年に入ると、まず3月に「nForce 790i Ultra SLI」「nForce 790i SLI」「nForce 780i SLI」「nForce 780i SLI」の4製品が発表された。この世代はノースブリッジが「Crush 73/72」に切り替わる。Crush 55との違いはPCI Express Gen2に対応したことと、DDR3メモリーに対応したこと、それに「nForce 200」への対応が施されたことだ。
nForce 200は前回紹介したとおり、PCIe BridgeというかPCIe Switch的な動作をするチップだ。これを使うことで「Triple SLI」が可能になる。
もっとも、このTriple SLIの構造がちょっと謎である。AMD向けの「nForce 780a SLI」の場合、構造は以下の図1のようになる。
これはこれでわかりやすいのだが、nForce 790i Ultra SLIの場合、(NVIDIAの資料によれば)図2のようになるらしい。帯域的にはこの方が高速ではあると思うが、特にMCP経由でのルーティングのレイテンシの大きさが気になるところではある。
ロードマップの話に戻ろう。ハイエンドになるのがnForce 790i Ultra SLIである。従来「Ultra」はSLI機能を持たないメインストリーム向けだったのが、この製品からネーミングルールを変えてしまったようだ。ノースブリッジはCrush 73で、「EPP 2.0」に対応したDDR3-2000メモリーまでサポートするハイエンド品である。
ここからEPPのサポートなどを削った「やや廉価版」が、nForce 790i SLIとなる。また、ノースブリッジにCrush 72を使ったのがnForce 780i SLIである。こちらは対応メモリーがDDR2になっているが、EPPでDDR2-1200に対応するなど、DDR2という以外はCrush 73にほぼ等しいスペックである。ここからさらにEPPの対応を削り、サウスブリッジに「MCP51」を使った廉価版がnForce 750i SLIになる。
GeForce 9400M内蔵のnForce 740i/730i
このnForce 790/780/750が2チップ構成としては最後の製品となり、以降はワンチップ製品に切り替わることになる。まず、2008年9月に投入されたのが、「nForce 740i SLI」と「nForce 730i」である。「MCP79」というコード名の製品と考えられている(詳細は後述)。1333MHzまでのFSBに対応し、メモリーコントローラーはDDR2とDDR3の両対応(もちろん混在はできない)で、PCI Expressを合計20レーン搭載する。
それだけでなく、内部に「GeForce 9400M」のGPUコアを搭載、こちらから映像出力もできるし、内蔵GPUと外部のGeForce搭載カードを連動させた「GeForce Boost」も利用できる。ちなみに、740iと730iの違いはSLIに対応するか否かであるが、ほかにもnForce 740i SLIはパラレルATAポートが撤廃され、SATAのみとなっているといった細かな差異がある。
また、nForce 740i SLIのPCI Express x16レーンは、これを自動的にPCI Express x8レーン×2に分割するという機能が省かれているそうで、チップセットの外部にnForce 4 SLIのようなレーン変更スイッチを別途設けるか、もしくはグラフィックスカードが1枚の場合でも、PCI Express x8レーンで接続するといった制限がかかるそうだ。
この連載の記事
-
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ -
第764回
PC
B100は1ダイあたりの性能がH100を下回るがAI性能はH100の5倍 NVIDIA GPUロードマップ -
第763回
PC
FDD/HDDをつなぐため急速に普及したSASI 消え去ったI/F史 -
第762回
PC
測定器やFDDなどどんな機器も接続できたGPIB 消え去ったI/F史 -
第761回
PC
Intel 14Aの量産は2年遅れの2028年? 半導体生産2位を目指すインテル インテル CPUロードマップ -
第760回
PC
14nmを再構築したIntel 12が2027年に登場すればおもしろいことになりそう インテル CPUロードマップ -
第759回
PC
プリンター接続で業界標準になったセントロニクスI/F 消え去ったI/F史 -
第758回
PC
モデムをつなぐのに必要だったRS-232-CというシリアルI/F 消え去ったI/F史 -
第757回
PC
「RISC-VはArmに劣る」と主張し猛烈な批判にあうArm RISC-Vプロセッサー遍歴 - この連載の一覧へ