画像の編集機能も見どころは満載
ハイダイナミックレンジの合成機能が進化した
続いては細かい画像の編集機能にいこう。まずはハイダイナミックレンジ(HDR)機能。CS5では「HDR Pro」に進化している。
露出を変えた複数の写真を合成してHDR写真を作り出すという処理だったが、いささか使い勝手が悪く、使えるシーンも限られていた。それが、より細かくパラメータをセットし、仕上がりをコントロール出来るようになっている。
また、複数の画像を合成すると、風などの影響で部分的にズレていることがある。それを自動的に消去する「ゴーストを除去」機能や、アーティスティックな画像を作り出すプリセットも装備し、かなり本格的なツールになった。
また色調補正内の「HDRトーン」を使えば、1枚の絵に対しても擬似的なHDR画像を作り出すことが出来る。これがすばらしい。うまく使えば非常に効果的だ。
レンズの種類に応じて補正してくれるように
つづいては補正フィルター。
レンズの収差(色づきや歪み)を補正するフィルター「レンズ補正」が進化し、あらかじめレンズデータを収録することになった。そして自動的にそのレンズに応じた補正をしてくれるようになっている。
たとえばこの写真はニコンの18-200mmで撮ったもの。このレンズは標準域で糸巻型にちょっと歪むというクセを持っているのだが、それも自動で補正してくれる。
元の絵がちょっと傾いていたので傾きも補正して完成。今のところ、対応するカメラやレンズの種類はさほど多くないが、オンラインでも用意されるため、CS5発売時はもっと使えるようになっているはずだ。
「miniBridge」の搭載で画像をサクサク開けるように
最後に紹介するのが小さなバージョンアップ「miniBridge」だ。
Photoshopから処理したい画像を開くときは、今まではOS標準のファイルダイアログを開くか、いちいち「Bridge」に切り替えるしかなかった。そこに登場したPhotoshopブラウズ専用の簡易版Bridgeが、miniBridgeだ。
ただしminiBridgeを使うだけでもBridgeを起動させておく必要がある(起動してなければ、miniBridgeを指定するとBridgeがまず開く)のが少々残念ではある。
PhotoshopとLightroomの違いがはっきりした
というわけで、CS5の大きな変更点をざっと見てきた。他にも3D関係の強化、ブラシ機能の強化、ネットワークを介した画面共有やWebを利用したオンラインサービス「CS Live」などなどが用意されている。
総じて言えるのは、Photoshopは写真の補正よりも「写真を利用した作品づくり」、あるいは「写真を素材としたデザイン」に力を入れていることだ。「コンテンツに応じた補正」はフォトレタッチの領域を越えつつある。
レタッチして作品を作ったり、ディテールまで修整して納品するフォトグラファー、さらにデザイナーには強力なツールだが、撮影した写真のレタッチと出力という用途に日常的に使うにはやや高機能すぎる。
そういう人には「取込→管理→現像→出力」を1本で出来るLightroomを勧めたい。フォトグラファーが日常的に利用するにはLightroom、さらに高度で複雑な編集作業が必要になったらPhotoshopというすみわけが出来るだろう。
Adobe Photoshop CS5 製品概要
対応OS(Windows): Windows 7/Vista/XP(SP3)
対応OS(Mac): MacOS X 10.5.7/MacOS X 10.6
CPU: Pentium 4以降、AMD Athlon 64以降(Windows)
Intel CPU(Mac)
メモリー : 1GB以上 HDD : 2GB以上
価格 : 9万9750円