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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第70回

ブロガーからライターに転身 「面白いサイトを見つけたよ。」

2010年04月19日 12時00分更新

文● 古田雄介

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「髪の毛がパイナップルみたい」から生まれたネタ投稿サイト

―― そうした変遷がある中、当初の目標どおりに人気サイトになりましたよね。ブレイクのきっかけは何だったんですか?

武田 それが「ない」んですよ。このサイトを紹介したからアクセスが跳ね上がったという経験がなくて、じわじわと伸びていった感じです。1年くらい続けていたら、当時のブログブームの波に乗れたこともあって、書籍化の話が来たり、取材の話が来たりと、外部からのアプローチをいただくようになったんです。そういうことがあって初めて「ああ、ちょっとだけ注目されたな」と思ったりしました。

―― 書籍化は「恋の悲しいセリフ」ですね。こちらは面白いサイトを……とかなりコンセプトが違うと思うのですが、どういういきさつで始められたんですか?

武田 僕は剛毛で髪の毛が放射状に伸びるんですが、当時付き合っていた彼女に、ある日「髪の毛がパイナップルみたい」と言われたんです。で、「そんなこと言わなくてもいいじゃないか」と微妙なショックを受けたのがきっかけですね。最近は男性より女性のほうが強いから、そんな感じで悲しいことを言われている男性も多いんじゃないかと思って、ネタを投稿してもらうブログを作ったんですよ。

 ただ、実際は女性からの投稿が最初から圧倒的に多かったんですよ。たぶん、男性はショックなことがあっても、内に秘めるという場合が多いんじゃないですかね。女性はけっこう、みんなに聞いてもらおうってタイプの人が多いということかもしれません。意外でしたが、面白いネタが多くてそのままでいいやと考えました。

2005年1月にスタートした「恋の悲しいセリフ」。2005年9月に扶桑社発行の『彼氏彼女に言われた悲しいセリフ』として書籍化を果たした

―― 投稿サイトの成功は初回の応募数がカギを握ると思うのですが、順調に滑り出しましたよね。何か秘策はあったんですか?

武田 ごく最初期はパラパラとしか来ませんでしたが、面白いサイトを……にリンクを張っていたのが功を奏したんだと思います。ちょうど1年経ったころで軌道に乗っていたので、タイミング的にラッキーだったんでしょうね。今は週に数本届けばいいというペースですが、2005年の夏頃は週に20本も投稿されたりしました。

Image from Amazon.co.jp
彼氏彼女に言われた悲しいセリフ

―― そうなると、ネタの選定も大変だったんじゃないですか?

武田 ブログ開始時期から一貫して「悲しいんだけど笑える」というのを重要視しているので、そんなに大変ではなかったですよ。その基準に沿って選定すればいいだけですから。特に最近は僕が求めているカラーを理解してくる人が多くて、ほぼ100%の割合で採用しています。

 最初の頃はNGなネタも届きましたね。たまに「彼氏にボコボコにされて、顔のカタチ変えてやろうかって言われた」とか、本当に「悲しい」ネタが書いてあったりするんですよ。そうなるとちょっと笑えない。かといって僕は相談員でもないですし……。あとは深刻な悲しいネタを何度も何度も投稿してくる人もいました。掲載してほしいという気持ちは伝わってくるですが、そこで曲げちゃうとまたちょっと違ってきますしね。

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