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アキバで恥をかかないための最新パーツ事情2010 第4回

知ったかできるパーツ基礎知識【ケース、電源、クーラー編】

2010年04月22日 12時00分更新

文● G&D Matrix

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イマドキのCPUクーラー選び

 さて最後にCPUクーラーについて軽く振れておきたい。CPUクーラーも非常に選択肢が多く、選ぶ際に悩むパーツのひとつであり、非常に奥が深い。また手軽に換装ができるため、より高い冷却能力を求めて同一システムで何度も交換するというユーザーも多くいる。元来CPUクーラーはCPUのリテールBOXに同梱されており、わざわざ買う必要は無いとも言え、そもそも予算に入れていない人もいるだろう。
 付属する純正クーラーはCPUのクロックが高くなると、それに見合った高冷却品が付属されてくるのだが、昔に比べれば製品の品質も良く、正直に言えばそのまま使用してもなんら問題は無い。ただし自作の世界に足を踏み入れるならば、やはり汎用モデルを使って楽しむべきだと筆者は考えている。そこで汎用CPUクーラー選びのポイントをご紹介しよう。

CPUクーラーは非常に選択肢が多く、選ぶ際に悩むパーツのひとつだ

トップフローとサイドフローの長所と短所

 CPUクーラーにはファンの風を上から吹き付ける「トップフロータイプ」と横方向に風をながす「サイドフロータイプ」の2種類がある。純正クーラーは一部を除いて前者となり、CPUがスロットタイプから現在のソケットタイプになってからも、純正クーラーは「トップフロータイプ」が主流となっている。

AMD純正のCPUクーラー。CPUに付属する純正クーラーは「トップフロータイプ」が主流だ

 その後、CPUのTDPが100Wを超えるようになると、「トップフロータイプ」の冷却能力には限界も見え始め、ファンの回転数を高くすることでどうにか“ごまかす”ようになると、今度は“静音”の枠内から逸脱、特にインテルのPrescottが出た頃は、CPUクーラーの騒音問題に悩まされることになった。そこで登場したのが「ヒートパイプ」だ。
 ヒートパイプは気化と液化を繰り返すことで熱移動を助ける冷却器の構成部品で、CPUクーラーに限らず冷却を必要とする産業用精密機器等でも多く使われているものだ。特にノートPCのように狭いスペースでの冷却には欠かせないアイテムとなっている。

効率良く熱を移動させるヒートパイプ(写真の銅製パイプ)は、クーラーに欠かせない部品として定着した

 現在主流の「サイドフロータイプ」は、CPUコアに接触するベース部と、放熱フィンで構成され、ヒートパイプはベース部と放熱フィンの間の熱移動の役割を果たしている。さらにヒートパイプは、放熱フィンをCPUよりも高い位置にマウントできるため、CPCソケット周りのコンデンサ類への物理的干渉を気にすることなく、大型放熱フィン+大口径ファンを搭載させることができるという利点もある。大口径ファンを搭載できる=(イコール)低回転で大風量を得ることができ、静音化にも繋がるというワケだ。

CoolerMaster製のCPUクーラー「Hyper TX3」。サイドフロータイプは、放熱フィンをCPUよりも高い位置にマウントできるため、放熱フィンや冷却ファンを大型化しやすい

 このように「トップフロータイプ」よりも有利なポイントが多いため、市販のCPUクーラーの半数以上(80%以上と言っても良いだろう)は、「サイドフロータイプ」になっているのだ。ただし幅の狭いスリム型PCケースや、Mini-ITXクラスのコンパクトPCケースではCPUクーラー自体の高さに制限があるため、注意が必要だ。純正クーラーのほとんどが「トップフロータイプ」を選択している理由はここにあり、CPUメーカーとしてはどんなロケーションでも幅広く搭載ができなくてはならない言わば“義務感”から、なかなか「サイドフロータイプ」を採用できないのだろう。
 ここまでで分かることは、搭載スペースに余裕がある場合は迷うことなく「サイドフロータイプ」を選び、限られたスペースしかない場合は「トップフロータイプ」を選ぶことが賢明だということだ。

現時点コンシューマ向け最高峰となるインテル製CPU「Core i7-980X ExtremeEdition」に同梱される純正CPUクーラーは、サイドフロータイプの「DBX-B」が採用されている。トップ部に回転数を調節するスイッチを搭載する

(次ページへ続く)

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