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アキバで恥をかかないための最新パーツ事情2010 第4回

知ったかできるパーツ基礎知識【ケース、電源、クーラー編】

2010年04月22日 12時00分更新

文● G&D Matrix

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PCをどこで、どのように使う?

 次に(5)の「使用目的から選定する」を簡単に説明したい。こんなご時世、新しいCPUやグラフィックスカードが発売されるや、次々とPCを新調してしまうというコアなユーザーは少数となり、こと自作初心者の多くはその“使い道”に主眼を置き、ネットを駆使して情報を収集し、プランを立てることだろう。

CoolerMasterの「Test Bench V1.0」は、PCをあえてむき出しの状態で使用するためのケース。何度もパーツを差し替えたり、再起動を繰り返すオーバークロックなどの検証に向いている。自作マニア御用達の製品だが、普通の人にはまったくオススメできない

 これまでのように、試行錯誤を繰り返しつつ自作そのものを楽しむ目的から、自作後の使い方に重点が置かれることは、道具としてのPCにとって至極真っ当とは言え、秋葉原をはじめとする自作ショップには必ずしも歓迎される状況ではないだろう。現在では構成パーツの高性能化と高い耐久性(長寿命)から、買い換えやアップグレードの必要サイクルが長くなり、いわゆる自作ブームのような“熱いアキバ”は過去の話となりつつある。この業界に携わる者としては寂しい限りだが、そんな状況とは裏腹にテクノロジーは確実に進化し続けており、目的の多様化により新たな市場が生まれることを願うばかりだ。

VESA規格に対応する液晶モニタ(19~23インチ/3~5kgまで)を搭載できてしまうGIGABYTE製のMini-ITXケース「GZ-SPIM51-P0B」。場所を取ること無く、インターネット閲覧やメールが主というユーザーにはこんな選択肢もあるが、拡張性は極めて低いため、メインマシンとする場合は相当な覚悟が必要だ

 少々話が逸れてしまったので軌道修正、PCケースの話題に戻そう。前述通り、目的の多様化により、PCケースも色々なタイプを選ぶことができるワケだが、結論から言えば迷うことなくATXミドルタワーケースを選ぶことをお勧めしたい。これまでご説明したように、ある程度のケース内容積があり、そこそこのエアフローが確保され、ネット閲覧やメールチェック、Excelやワード等のビジネス用途、さらにはオンラインゲーマー等ほとんどの希望を叶えるのがこれに当たる。やはり拡張性がある程度確保されていた方が後々後悔することも無いだろう。よほど設置スペースが無い場合に限り、コンパクトタイプのMicroATXケースやスリム型ケースを選べば良く、ミドルタワーケースとの価格差もさほど気にならない。
 これは(6)の「長く使えるモデルを選定する」に通ずるもので、拡張性が確保されていることで後々増設アップグレードも可能で、構成パーツ総入れ替え時でも柔軟に対応できる。こと増設アップグレード時に後悔しないためにも、確固たる理由が無い場合はATXミドルタワーケースにすべきだ。

ATXミドルタワーケースとしては高エアフロー、高拡張性で人気のCoolerMaster製「CM690」シリーズに上位モデルが登場した。フロントメッシュ仕様のCoolerMasterらしい飽きのこないデザインも人気の秘訣。「迷ったらコレ」と言えるお勧めのPCケースだ

アルミ製とスチール製の違い

 最後にPCケースの素材について“アルミかスチールか?”と悩む方に筆者の独断と偏見を申し述べておくと「どちらも大差ない」と敢えて言いたい。
 アルミ製ケースはその素材特性から「放熱効果が高い」と言うキャッチが横行しているが、PCケースに限ってはそのアドバンテージはほとんど無いと考えよう。発熱体に直接接触するCPUクーラーのヒートシンク等はアルミニウムの自己放熱能力が存分に発揮されるが、ケース内部の異常高温時を除けば、通常使用で“触れないくらい”にケースが熱くなることは無い(もしそうなる場合は別の心配をした方が良い)。つまり、熱が伝導していなければ、いくら放熱能力が高くともその能力を発揮するまでには至らないことになる。

限定30台で発売された実売価格9万円台のアルミ製ケース「ArtistMaster JC-7012F Pro」。秋葉原にはこのような製品も存在するから驚くばかりだ

 一方スチール素材に関しては、一般的にアルミニウムよりも素材単価が安い分、低コストで厚みを持たせることができるため、自ずと高剛性に仕上がる。剛性が高いということは、工作精度が悪いモデルはこの際論外として、駆動部品(HDDやファンモーターなど)からの共振を防ぐことができ(いわゆるビビリ音)、静音化にも繋がる。

オウルテックのスチール製ケース「黒鉄(くろがね)」。サイドバネルに防振シートを標準装備し静音性が高い。リアのブラケットは11本あるため、拡張性もバッチリ

 ここまで説明するとスチール製に分がある様に思えてしまうが、アルミ製にはデザイン性とその独特の仕上がり感からワンランク上の雰囲気を楽しむことができる。「長く使えるケースを選定する」ならば、やはり外観にもこだわりたいと思うだろう。最近では両者の良さを活かそうと、目に見える外装部品はアルミ製、剛性が必要な内部シャーシはスチール製を採用したハイブリッドモデルも多数リリースされており、互いの長所が捨てがたいと言う場合は良い選択肢となる。

オーディオデッキ風デザインを得意とするSilverStoneの「Grandia」シリーズ。シャーシがアルミとスチールのハイブリッド仕様になっている。フロントパネルには8mm厚のアルミが使われており、PCケースらしからぬ存在感を楽しめる

(次ページへ続く)

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