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アキバで恥をかかないための最新パーツ事情2010 第3回

知ったかできるパーツ基礎知識【HDD/SSD編】

2010年04月21日 12時00分更新

文● G&D Matrix

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より速く!高速化の進むSSD

 2009年から2010年、HDDにはそれほど大きな変化がなかったのに対し、SSDにとっては非常に重要な1年となった。まさに普及元年と呼ぶにふさわしい進化を遂げつつある。コントローラチップの改善やキャッシュの搭載により、シーケンシャルリードは170MB/s程度から200MB/s~260MB/sへと大幅に高速化。また、HDDが不得手としているランダムアクセスを高速化したものが多く登場し、ランダムライトで実測60MB/s超える製品も発売されている。これはHDDの実に30倍近い数値で驚異的な転送速度といえる。
 HDDに比べるとまだまだ高価なSSDだが、この1年で価格も順調に下がっている。容量やスペックにより価格はまちまちなので、なにがいくらと一概には説明しづらいのだが、一般人には手の出しづらかった昨年始めの状況からはかなり改善されている。

HDDに変わるストレージデバイスとして注目を浴びるSSD(Solid State Diskの略)。高速な転送速度に惹かれたユーザーの間で急速に広がっている。徐々に価格が下がりつつあるが、HDDに比べるとまだまだ高価なのが難点

SSDって……何?

 細かい説明に入る前に、まずはSSDについての簡単におさらいしておきたい。SSDとは、NAND型フラッシュメモリを記憶媒体として利用するストレージデバイスで、HDDのような駆動部が無いため衝撃に強く、低消費電力で高速という特徴がある。その特徴のため、もともとはノートパソコンで主に採用されていたのだが、高速な転送速度に惹かれた自作ユーザーの間では、デスクトップPCでの利用が急速に広がっている。ただし、SSDで使われているNAND型フラッシュメモリは書き換え回数に制限があるため、その制限を超えてしまうとそのエリアは利用できなくなってしまう。現段階ではまだ、SSDの書き込み上限に達し、使えなくなったという報告はほとんどなく、実際にどの程度の期間利用出来るのかは不明だが、一応そのような制限があることだけは覚えて置く必要がある。

SSDを分解したところ。コントローラチップとNANDフラッシュメモリで構成され、駆動部は一切ない

 また、Windows XP/VistaではSSDをHDDと同じデバイスとして認識していたが、Windows 7ではSSDの性能を最大限に発揮できるように、HDDとは別のデバイスとして認識するようになった。OSレベルでSSDをサポートするなど、SSDがいよいよ本格的に認知されてきたと言えるだろう。Windows 7ではSSDとして認識されると、自動デフラグがOFFになり、そのかわりにTrimというSSD用のデータ管理機能が対応するようになった。Trim機能を使う場合は、SSD側もTrim機能に対応する必要があるが、最近のモデルは基本的に対応しているはずなのであまり気にする必要はない。

CrystalDiskInfo3.5.3を使用して、対応機能を確認したところ。TRIMに対応していることがわかる

SSD選択のポイント

 それではここからは実際にSSDを購入する際に注意するポイントについて説明していきたい。特にSSDはHDDに比べて販売しているメーカーも多く、種類が多いので実際にどのSSDを購入すればよいのか迷う人も多いだろう。そこで、今回はHDDと同様に店頭の価格表に載っているスペックを元に説明をしていきたいと思う。

パソコンショップアークのSSD価格表。こちらもショップごとに記載されている内容は違っているが、価格表には、フラッシュメモリの種類、コントローラの種類、転送速度、キャッシュ容量などが記載されている

ポイント1「フラッシュメモリの種類」

 SSDに使われているNANDフラッシュメモリには、SLC(Single Level Cell)とMLC(Multi Level Cell)の2種類がある。両者の違いはメモリ構造にあり、SLCは1つのセルに1bit、MLCは1つのセルに2bitの記録が可能となる。MLCはSLCに比べてスピードが遅く、信頼性も劣るといわれていたが、安価で大容量化できるため、現在では多くのSSDでMLCが採用されている。さらにコントローラやMLCメモリ自体の改良によりSLCタイプより高速で、信頼性も向上したモデルが登場している。一方、SLCタイプはこの一年ほとんど新製品が発売されておらず、価格もあまり下がっていない。最大容量も一般的な2.5インチSSDでは128GB止まりとなっており、今後はエンタープライズ用途向けのSSDへとシフトしていくと思われる。

IntelのSLCタイプのSSD「X25-E Extreme SATA SSD」。32GBモデルの「X25-E SSDSA2SH032G1C5」で、実売価格は3万5700円前後と非常に高価な製品だ

売れ筋のMLCタイプのIntel製SSD「X25-M Mainstream SATA SSD」。80GBモデルの「X25-M SSDSA2MH080G2R5」で実売価格は2万2800円前後、160GBモデルの「X25-M SSDSA2MH160G2R5」で4万2400円前後と発売当初に比べてかなり安価になっている

ポイント2「SSDの性能はコントローラチップで決まる」

 SSDの肝といっても過言ではないのがコントローラーチップだ。転送速度やSSDの特徴はこのコントローラーチップで決まるといってもいい。第一世代では主にJMicron製のJMF602というコントローラーチップが搭載されていたが、ランダムライトが集中して起こった場合にSSDへのアクセス速度が極端に低下するという、いわゆる“プチフリーズ(プチフリ)”と呼ばれる現象が発生し問題となった。すると今度は、その間隙を縫ってプチフリ対策が施されたされたINDILINX社製コントローラーチップやIntel製コントローラーチップを搭載したSSDが大ブレークすることになった。2009年を牽引した2大モデルが、このINDILINX社製コントローラーチップ搭載モデルとIntel製コントローラーチップを搭載したモデルとなったのは疑うべきもないことだが、最近ではシーケンシャルリード、ライトとも260MB/sと非常に高速なSandForce社製のコントローラーチップを搭載した製品なども登場している。後述するSATA 3.0(6Gbps)対応モデルも含めて、まだまだ今後の展開が分からない未成熟な市場となっているのは確かだ。

Intel製コントローラーチップ「PC29AS21BA0」。下に見えるのはキャッシュメモリ

最近話題のSandForce製コントローラーチップ「SF-1200」。こちらはキャッシュメモリを搭載せず、独自のアルゴリズムにより高速化を図っている

ポイント3「キャッシュ容量による違い」

 SSDではコントローラーチップによってキャッシュを搭載出来るかどうかが決まってくる。コントローラーチップが同じならキャッシュ容量が大きい方が高速になるのは言うまでもない。とはいえHDDほどモデルによる違いなどはないので、購入前はキャッシュ容量の有無を確認する程度で良いかもしれない。

ポイント4「メーカーによる違い」

 冒頭でも触れたが、現在SSDを取り扱うメーカーは非常に多い。市場はまさに群雄割拠の様相を呈しており、様々なメーカーから毎週のように新モデルが発売されている。性能については先ほども言ったようにコントローラーチップに依存するところが大きい。実際にカタログスペックが異なっていてもメーカー間の差はほとんどない場合も多々あるぐらいだ。そのため、各メーカーともマウンターなどの付属品、ソフトウェア、保証期間などで差別化を図っている。コントローラーチップが同じで価格にも差がない場合は、付属品や保証期間を参考にして購入するのもいいだろう。

(次ページへ続く)

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