サービス面でも注目を浴びているnook
サービス面での面白さはnookの特徴だ。そのひとつが、貸出機能。購入した電子書籍を2週間限定で友人が読める。もうひとつが、立ち読み機能。バーンズ&ノーブルの店舗にnookを持っていき、フリースポットに接続すると、nook用の電子書籍がすべて読み放題になるというものだ。
バーンズ&ノーブルは、店舗内に喫茶スペースなどが併設されており、そこに本を持ち込み、心行くまで読むことができる。日本でもジュンク堂などの書店で似たようなコンセプトが採用されているが、単に本を買うだけではない体験型の書店と言える。
そんなコンセプトが、nookの中にも生かされている。そんなある意味しゃれの利いた書店であるせいか、オンラインヘルプなどの表現なども面白い。
PDF閲覧用のビューアーとして活用
上述した理由から、こういったウェブサービスとの連携機能の多くは、国内で利用できない。とはいえ自前の資料や書籍データをPDFにして、パソコンからnookに転送すれば、携帯型PDFビューアとして利用できる。電子ブックリーダーとしての基本的な性能や、使い勝手の雰囲気については体験できる。
今回入れてみたのは、冊子PDFと青空文庫書籍をPDF化したファイルだ。nookはフォントを埋め込んだPDFなら日本語も表示できた。Kindleは、国際版といいつつも、発売当初はこうしたことができなかった。最新のファームウェアではPDFに対応したため、、面倒なPDF→AZWフォーマット変換は不要だ。
青空文庫のデータをPDF化する際には、「青空キンドル」を利用した。青空文庫のテキストをKindleで読めるPDFファイルに変換してくれるサービスだ。ZIPリンクをコピーしてボタンをクリックするだけで、縦書きフォントを埋め込んだPDFを作ってくれる。
ただし立て続けに10件くらいやると「あまり続けてやらんでください。すんません」というメッセージが表示されるのため注意しよう。吐き出されるPDFはKindle向けということになっているが、中身は普通のPDFなのでnookでももちろん読める。付属の電源兼用USBケーブルでPCに接続すれば、nookはリムーバブルディスクとして見えるため、電子書籍フォルダにファイルをコピーするだけだ。
青空キンドルで作成したPDFは、6インチスクリーンに合ったサイズでとても読みやすい。ルビも問題なく表示できている。そもそも6インチEInkインクは文庫本に合わせたサイズなので読みやすいのも当たり前かもしれない。フォントは文庫本よりやや大きめだ。
しかし、「Font」→「Text size」メニューでフォントのサイズを「Small」から「Medium」へ変更したらレイアウトが崩れた。さらに小さいサイズにしても崩れたため、Smallサイズ固定で使う。
次にほぼA4サイズのPDFを表示してみたが、電子ブックビューアにレイアウトを合わせて作ったものではないので、小さいスクリーンサイズに合わせて表示すると文字が細かすぎて読めない場合がある。
とはいえフォントサイズの変更が効くnookなら、文字を拡大して読みやすくすることもできた。ただし、レイアウトは崩れる。行の途中で突然改行が入るといった状態になってしまう。
対するKindleでは、日本語PDF文書ではフォントの拡大/縮小が効かない。ただ、新しいファームでは「Manual screen rotation」が効くようになって、横方向へ回転して表示できるようになっている。スクリーン長辺にページの横幅を合わせて表示すると、多少拡大して表示できるので読みやすくなる。ただし、1ページを1画面で表示できないため、1ページすべて表示するのにNext Pageボタンを何回も押さなくてはならない。
レイアウトは崩れないが、両者の表示は一長一短あると言える。