2010年 ビデオカード選びのポイント
DirectX 10.1とDirectX 11対応
Windows Vistaであれば、Aero 3Dのデスクトップを動かすにはDirectX 9.0cに対応していればよく、少々古いビデオカードでも問題なく動作した。とはいえ、Windos 7が登場したことにより、今では最低でもDirectX 10.1対応が必要となった。もちろん、DirectX 10.0/DirectX 9.0c対応のビデオカードでも動作はするのだが、Windows 7ではDirectX 10.1固有の機能を使って、画面描写の高速化や表示品質の向上を図っている。そのためにも、できるならDirectX 10.1に対応するビデオカードを最低限選びたいところだ(関連記事)。
なお、ATI Radeonシリーズの場合、「ATI Radeon 4000」シリーズならDirectX 10.1に対応、「ATI Radeon 5000」シリーズならDirectX 11に対応している。GeForceの場合は「GeForce GT 200」シリーズがDirectX 10.1に対応、「GeForce GTX 400」シリーズがDirectX 11対応となる。
GPGPUがより広がった
GPGPUとは、GPUを3D演算だけではなく、汎用目的の計算にも使おうというもの。NVIDIAの「CUDA」、ATIは「ATI Stream」という名称で専用のAPIを用意しているが、Windows 7のDirectX 11にもGPGPUが使える命令が組み込まれている。CUDAやATI Streamほどではないにしろ、GPGPU対応ハードウェアを搭載していれば、そのままGPGPUが使える環境となっている。もっとも現時点では、まだまだアプリケーション側でCUDAやATI Streamに独自対応する場合がほとんどであり、DirectX 11のGPGPUはまだまだこれからという状態だ。
なおGPGPUのアクセラレートはかなり限定的なため、ハイエンドとローエンドでもGPGPUの実行速度はそれほど大きな違いはない。そのため、GPGPUのためにハイエンド製品を選んでも費用対効果は薄い。GPGPU目当てで導入するのであれば、ミドルクラスの製品で十分だろう。
マルチGPU環境
NVIDIAのGeForceで構築可能な「SLI」、AMDのATI Radeonで構築可能な「CorssFireX」。どちらも2枚以上の同じカードを差すことで性能をスケーラブルに向上させようという技術で、自作経験者なら一度は耳にしたことがあるはずだ。基本的にミドルレンジ以降のビデオカードなら対応している。
当然ながら、同じカードを複数差すためにはそれに応じた拡張スロットが必要となるほか、ハイエンドなビデオカードを使うほど電源容量の必要出力は厳しくなっていく。現在のビデオカードはシングルカードでもかなり高性能なので、初心者ユーザーのみなさんはSLIやCrossFireXを考慮する必要はないと断言できる。
PhysX SLI
NVIDIAのGeForceには「PhysX SLI」というのがある。これはWindows VistaまたはWindows 7環境にて、GeForce 9000シリーズ以降であればどんな組み合わせでも利用可能、しかもSLIに対応していないマザーボードでもビデオカードが2枚差せる製品なら利用できる(関連記事)。
これで何がアクセラレートできるかと言えば、PhysX処理(物理演算)と通常の描画処理を別々のGPUにて実行することで、パフォーマンスの低下を防ごうというものだ。その効果を発揮するには最低でもミドルレンジ以上のビデオカードを2枚搭載する必要があり、そのコストの割りに得られる恩恵は今のところ少ない。が、一部のゲームでは表現力とフレームレートが向上するため、ゲーマーを自認するのであれば試してみたい組合せでもある。
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