iPad版ならではの奥義は「そろばん返し」
―― 実機とタッチパネルでは操作の感覚がずいぶん違うと思うんですが。
大田 そうですね。逆にiPadならではの操作仕様とか、昔はできなかったけど今なら出来ることを盛り込んでいこうという提案はしました。
福田 とにかく音を止めずに様々な操作が出来るようにしてあります。
高橋 パターンコピーのようなユーティリティ的な機能は、一度止めなければ使えなかったんですが、それがパターンを止めずに出来るんですよね。
―― Denki(高橋)さんは普段から実機を使われているわけですが、演奏されてみてどうですか?
高橋 最初に触ったときから、違和感はなかったですね。
福田 (タッチの)調整にはすごく時間をかけていますね。例えばこのメニューダイアルですが、上手くやらないとダイアルだけが先に進んでいるように見えるので、その速度を細かく調整したり。
―― プログラミングをされた井上さんは、マルチタッチUIの設計は経験ありますか?
井上 いいえ、初めてですね。このほうが使いやすいんじゃないかと思うことを、内発的に出していった結果です。
―― それはどんな部分でしょう?
井上 ツマミの値を容易には飛ばないように調整したり、フリック入力※では、パラメーターを1段ずつ進められるようにしてあったり。それでパターンチェンジのとき、目当てのパターンを選ぶのがやりやすいはずです。
※ フリック入力 : 指をすばやく動かし、弾くようにして入力する方式。iPhoneなどのスマートフォンでは日本語の入力方式として取り入れられている
―― 演奏者として、タッチセンス式のインターフェイスで可能になることは何でしょう?
高橋 「そろばん返し」ですね。
―― なんですかそれ?
高橋 ステップ入力のボタンを素早く横になでると、パターンのオン/オフが逆になって「裏」のリズムになる。とっさに展開を作るときに使えますよ。ELECTRIBE・Rでもやれないことはないんですが、ずっと華麗に出来るんです。