映画に関して、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンでマーケティングを担当する谷中雅子さんにお話をうかがうことができた。
――映画『アリス・イン・ワンダーランド』に関して、特に推したい点などは?
【谷中さん】『不思議の国のアリス』では幼い少女だったアリスが、成長して一人前の女性になって、戦いに出るということを強調したいですね。「女の子が戦うというのは、日本のコミックから影響を受けている」とティム・バートン監督自身も言っていました。女の子のヒーローというのは日本人なら普通に見ていますが、アメリカではそれほどポピュラーな文化ではないとのことです。
――日本のコミックやゲームの影響もあるということですか?
【谷中さん】監督自身、日本のSF映画を見て育ったそうで、『ゴジラ』の大ファンだし、コミックも好きで見ていたので、その影響は大きいと言ってました。またコミックやゲームだけでなく、白の女王の城の桜の木は、初めて日本に来た時に見た桜がモデルなんだそうです。
――配役に関しては?
【谷中さん】マッドハッター役のジョニー・デップとティム・バートン監督は、本作で7回目のタッグとなりますが、ティム・バートン監督は、「彼は監督が作りたいキャラクターになりきれるだけでなく、それ以上の存在になってくれる」と話していました。マッドハッターは目がCG処理されて大きくなっているのですが、常に作品の事を考え役になりきっているのもジョニーの素晴らしさですよね。
――アリス役のミア・ワシコウスカに関しては?
【谷中さん】アリスは本来、自我がはっきりしていているのに、イギリスの中流階級の中ではそれが押しつぶされています。荒削りで、不安そうで、社会に適応できていないところがイメージに合っていました。
――CGなどの技術的な部分についても聞かせてください。
【谷中さん】普通は脚本があって、セットを組んで撮影をしていきますが、今回はパズルを組み合わせるように最後に各要素を合わせています。役者はグリーンバックで撮影に臨んでいて、背景がどうなるのかはその時点ではわかりませんでした。そこに背景をつけて、動物を加えて、画として完成させていくので、数ヶ月前にはこんな映像になるなんて想像もしていなかったんですよ。
――キャラクターにもCG処理が使われていますね。
【谷中さん】マッドハッターの目が大きいのは先ほどお伝えしましたが、赤の女王の大きな頭ももちろんCG処理です。もともと監督はディズニーのアニメーター。今作にもCGアニメの技術が取り入れられていて、アニメーターとしての経験が役に立ったと語っていました。
未熟なアリスが、さまざまな経験を通して自分の運命を悟り、世界を救うための戦いに挑んでいく様子はまるでRPGのようだ。ゲームに慣れ親しんでいる男性でもしっかり楽しめる作品に仕上がっていると言えるだろう。ファッション的なことで言えば、次々と変わっていくアリスの衣装にも注目。最初の、淡いブルーのドレスの裾には、動物の刺繍が入っており、彼女が出会うさまざまな動物たちを連想させるもので、アカデミー賞を2回受賞したデザイナー、コリーン・アトウッドならではのこだわりだ。アリスのみならず、マッドハッターのボタンのデザインが一つひとつ違っていたりと、非常に細かい部分まで気が配られている。4月16日より渋谷パルコで、劇中で使用された衣装や帽子などの展示も行なわれているので要チェック。
なお、映画に関連して19歳のアリスのような“美しさと強さ”を兼ね備えた女性を発掘するオーディション「ミス・アリスコンテスト」も開催されていて、7日に20歳の女子大生・栗生二稲さんが受賞。映画のプロモーションにひと役買う。子供向けに日本語の吹き替え版も用意されており、白の女王は誰がやっているのかを当てるキャンペーンも実施するという。これらさまざなイベントとともに、いよいよ日本での封切りを迎える『アリス・イン・ワンダーランド』。4月17日までもうすぐだ。
『新訳 ふしぎの国のアリス』を読んで、
映画『アリス・イン・ワンダーランド』を観にいこう!
『新訳 ふしぎの国のアリス』では、絵本などでは削られがちな描写やストーリーを忠実に翻訳。河合祥一郎氏の現代風のセンスで、原文の“韻”を踏んだ言葉遊びも、たくみに再現されている。イラストレーターokama氏による、物語の世界にすんなり入れる親しみやすい挿絵も、全部で51点(!)と非常に多く、マンガ感覚で楽しめる。
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新訳 ふしぎの国のアリス (角川つばさ文庫)ルイス・キャロル(著)アスキー