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AR~拡張現実~人間の“現実感”を高めるテクノロジー 第4回

経済産業省によるAR -e空間-

2010年04月16日 18時00分更新

文● 丸子かおり

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コレカモさんがあなたの欲しいものの在庫チェック!

 最後のモデルサービスは購買欲を拡張する、ユニークなサービスだ。今までのARというと、とにかく視覚に訴えるものが多かったが、東急ハンズが提案したのは「欲しい商品が店舗にどれくらいあるか」を検索するシステム、その名も「コレカモネット」。

 このサービスは、WEB上にいるカモ型ロボットのゆるキャラ「コレカモさん」が、ユーザーの「これが欲しい」という投稿に応じて、要望にあったグッズの在庫やオススメグッズを教えてくれるというもの。このサービスを利用できるのはTwitterのアカウントを持つか、コレカモネットにユーザー登録すればオーケーだ。

コレカモネットのサイト。投稿窓に欲しいものを入力すると、コレカモさんがオススメの品と店舗の在庫状況を教えてくれる

 試しにコレカモさんに、欲しいものを聴いてみたところ、数秒で返事が返ってくる速さ。これは、東急ハンズと良品計画の商品の在庫情報に位置情報などを付加したデータベースが構築されていて、現実の店舗の在庫などを可視化し、ユーザーの曖昧な探しものからオススメの品物を探してくれるのだ。

 このコレカモネットの目的は、ネットで在庫やオススメが検索できることによって、リアル店舗の集客をアップさせること。コレカモネットで検索して商品を提示されることでユーザーの購買欲を刺激して、実際の店舗に足を向かわせよう、という狙いだ。また経済産業省としては、在庫情報と店舗の情報を連動する面が興味深かったとのこと。

コレカモネットのサイトだけでなく、Twitter上にて「@korekamo」に質問をすると、レスとして在庫やオススメ品を教えてくれる

 さて、今までモデルサービスを紹介してきたが、加藤さんによるとARの分野はまだまだ課題が大きいという。たとえばプライバシーの問題。ARアプリにより第三者の写真を同じ位置に毎回アップするような行為が出てきた場合や、この場所は過去に事件があった場所みたいな情報が出た場合問題がないか、などと議論の余地があるとはいえ、先に議論してからサービスを始めるのではなく、実証をすすめながら、そこで起こる事例に対応していくのが、AR発展のために必要だ、とのこと。

 e空間実証事業は今後どうなるのであろうか? 加藤さんは平成22年度も公募を予定しているという。サービス産業は現在、雇用・GDPとも日本経済の約7割を占める重要産業であり、今後もe空間実証事業は続けていくとのこと。今後も経済産業省のバックアップで数々のARを利用した実証実験は進められていくだろう。どんなサービスが出てくるか楽しみだ。

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