外国人も喜ぶ、英語対応・観光案内つきアプリへ
先のページにおいてマップモードのポイントがカメラモードに反映されているのを「一見、シンプルなシステム」と紹介したが、実はこのシステムは観光・飲食店情報の紹介などにおいて高いポテンシャルを秘めている。
「住み慣れた場所から別の場所に旅行した場合、距離感がつかめないことがあったり、公共交通機関が分からないということで、せっかくの旅行にムダな時間が入りがち。そんな問題を解決するのがTravelCamerARじゃないだろうか」と土田さんは言う。今後、観光地や飲食店情報を盛り込み、例えばお寺の閉館時間が夕方5時の場合には、5時になるとTravelCamerAR上からそのお寺のデータを見えなくして開園時間が分かるようにすると、効率的に旅行が楽しめるのでは、と考えているそうだ。
そしてTravelCamerARの重要な点のひとつは、外国人向けに英語対応になっていることだ。平塚さんは「日本では普及がまだこれからのAndroid携帯だけど、海外では使っている人が多いので、来日したときに役立つように、英語版は必須というコンセプトで作っている」と言う。今後、旅行においての通訳的な役割をTravelCamerARでやっていきたいそうだ。確かに場所情報だけでなく、どのルートを何メートルたどっていけばいいのか、もしくはお店の情報が英語で表示されれば海外のお客さんも重宝しそうだ。
ただし、まだ超えるべきハードルが残っている。現在、TravelCamerARはまだβ版であり、サーバーを使って情報の共有ができない状態だ。この問題については、2010年秋にネットワーク機能を有したオープンβ版がリリースされることになっている。もし、データを共有できたとしたら分かりやすいシステムであるTravelCamerARの可能性は広がっていきそうだ。たとえば、堀川さんはサーバーでデータ共有させることで、自分の好きなスポットを伝えられるようにしてみたいという。平塚さんは、TravelCamerARとTwitterを共有させて何かできないか、広告的なことで何かできないかと考えているそうだ。
現在、TravelCamerARはβ版であり実証実験の最中だが、各都道府県や地方自治体、中小企業の要望を聞いていって情報を精査し、使い勝手を考えてからオープンβ化をめざしているそうだ。そのためには、より地域に合った情報が必要になってくるとのこと。このTravelCamerARは地域や企業を活性化させる可能性を秘めている。まだ実証実験は続けていくとのことで、参加したい地方自治体や企業を募集している。ぜひ、「我こそは!」というところは参加してみてはいかがだろうか。
さて、ほんの一端ながらキャリアやモバイルコンテンツ業界におけるARに対する試みを紹介してきた。次回は、経済産業省におけるARへの取り組みを紹介していこう。
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