オーディオテクニカが4月26日に市場投入する「ATH-CKS90」(予想実売価格1万円前後)は、同社「SOLID BASS」シリーズのカナル型イヤフォンの最上位モデルである。このSOLID BASSシリーズには、個人的にかなり思い入れがあり、今回は発売に先駆けて同社を訪問。その音を聞かせていただくことにした。
私が「SOLID BASS」シリーズを好きなワケ
昨今はiPod/iPhoneの普及が影響しているのか、多くの家電量販店において大きなスペースをヘッドフォン/イヤフォン売り場が占めるようになった。そこで色々と製品を眺めていると、低音を重視した製品が少なくないことに気付く。古くはKOSSの「PortaPro」など、昔から低音重視の製品は少なくなかったが、ここにきて改めて盛り上がっている印象を受ける。
そうした低音に重きを置いたイヤフォンで、筆者が実際に日々利用しているのが同社の「ATH-CKS70」である。伸びのある気持ちいい高音が印象に残る製品が多いオーディオテクニカが、量感のある低音を実現した製品として昨年6月に投入したのがSOLID BASSシリーズであり、その第一弾として投入されたのが「ATH-CKS50」と、このATH-CKS70というわけだ。
日々ATH-CKS70を使っていて感じるのは、力強い低音としっかり響いてくる高音のバランスのよさ。低音重視といってもブランド名に「SOLID」とあるようにすっきりしたキレのある音で、無理矢理ブーストされた低音のようなイメージはない。これにオーディオテクニカの気持ちよい高音が加わり、低音重視モデルでありながらバランスのよいスッキリとした音を作り出している。
このイヤフォンが気に入ったことから、その後購入したのが同じくSOLID BASSブランドの「ATH-WS70」である。切削アルミハウジングがとにかく格好いいヘッドフォンで、40mmのドライバから出力される低音はとにかくパワフル。しかもキレがいいので、ベースやドラムの展開が速い曲でもスピード感がしっかり再現されている。ATH-CKS70と同様、中音域から高音もしっかり響き、低音の中に埋もれてしまうようなこともない。こちらも現在お気に入りである。
デュアルチャンバーを搭載した注目の最上位モデル
その新製品であるATH-CKS90について、オーディオテクニカのゼネラルサポート部 営業企画課 商品開発グループ リーダーの大堀平良氏は、「低域重視のヘッドフォンを出すというのは、オーディオテクニカにとって新たな挑戦でしたが、多くの人に受け入れられたと感じています。また、さらに高音質な製品をということで、今回のATH-CKS90をリリースすることになりました。この製品で、イコライジングされた形ではなく、リアルな低域というものを実感して頂けると思います」と製品の位置付けを語っていた。SOLID BASSのコンセプトを継承した、カナル型イヤフォンの最上位モデルというわけだ。
また製品の特徴として、同社の技術部 六課 マネージャーの小澤博道氏が挙げるのは「デュアルチャンバー」だ。
「通常、バックキャビティ(空間)を広げればダイヤフラムにかかるストレスを減らすことができ、音質も向上させられます。ただ大きくなると、デザイン面への影響が大きいという問題もあります。そこでチャンバーを2つに切り、それをくっつけるようにすることでチャンバーの容量を稼ぎつつ、サイズも小さく抑えています」とのことだ。
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