電気自動車など、新たな応用領域も見据える
4.0Ahのリチウムイオン電池の量産化の目処がたったことで、リチウムイオン電池の応用範囲は飛躍的に広がることになる。
単純計算すると、2.2Ahのリチウムイオン電池に比べて、バッテリー駆動時間は約2倍にまで伸びる。また、同じ容量であれば、バッテリーを搭載するスペースが半分にできる。これを利用することで、大容量化の促進とともに、小型化や可搬性を実現したり、よりデザイン性に優れたモバイル端末を投入することができるようになる。
とくに期待される領域が、家庭用太陽光発電や燃料電池向けの蓄電システムとしての活用と、電気自動車(EV)用電源への応用である。
パナソニックの試算によると、2次電池市場は、2018年までの今後10年で2.5倍の5兆4000億円に拡大すると予測。そのなかでも、2009年度には6000億円の市場規模であったリチウムイオン電池が、この10年間で5.3倍もの成長を遂げ、3兆2000億円の規模にまで拡大すると見ている。2次電池市場全体における構成比は約6割にも達する。
また、電気自動車や電気二輪車などの環境対応車での需要も旺盛になると見られ、2018年度には、環境対応車における電池需要は、2010年度の17倍規模となる3万8000MWhにまで拡大すると見ているのだ。
もし、4.0Ahのリチウムイオン電池を利用すれば、2.9Ah電池では20並列7直列の140本構成だったものが、15並列7直列の105本で済み、このモジュールを14個搭載した場合、94リットルの搭載スペースが必要だったものが、67リットルへと削減できる。これは一般自動車のガソリンタンクのスペースとほぼ同じ容量であり、試算では270kmの連続走行が可能になる。
住之江工場の竣工式に出席した大阪市の平松邦夫市長は、「説明によると、すでにリチウムイオン電池を6800本使用すれば、自動車が350kmもの継続距離となり、最高速度200kmに達するという話を聞いた。これには驚いた。できれば運転してみたいと思ったほど」と興味を示す。
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