"ドロケー"のハイテク進化形、それがエアノベル
ゲームは2009年12月31日に決行された。参加者はすでに井口さんと新城さんがTwitter上でアイディアを出していたときから、TL(タイムライン)上に参加表明を示すユーザーがいたそうだ。そして実は、エアノベル #15a24の基本的な遊び方は、「ドロケー(ケードロ)」と同じ。そう、子供の時にドロケーゲームで遊んだ人は多いだろう。ドロケーと同じように、謎の「ピンクのケータイを持つ男」を探すシステムだ。
そして、このゲームにおけるセカイカメラの役割は、ドロケーのドロボーの情報や痕跡をエアタグとして残しておくこと。プレーヤーはエアタグを拾いながら、「こっちにいるのでは」と推理していくのだ。また、アリバイとして写真を残すことで、またプレーヤーが推理して網の目を狭めていくことが狙いだ。うーむ、こんなおもしろい体験に入れなかったのがクヤシイ!
なお、ゲーム当日、新城さんはユーザーにヒントを与える係に。頓智・のオフィスは指令局支局となって、ユーザーの行動を見ていたそうだ。プレーヤーはエアタグを見て、ターゲットを追いかけることになるのだが、自分が得た情報もエアタグとして、他の仲間へ情報を残すことができる。
井口さんによると指令局支局では当時、誰が多くエアタグを打ったか、バードウォッチャーのようにカウントしていたのだとか。いやはや大変そうだ。また、ユーザーも冬の寒い中を集団で行動し、効率的に犯人を追いかけられるよう、マクドナルドにノートパソコンを持ち込み指令本部を作って、ユーザーコミュニティで助けあいながら、犯人を追いつめるために協力したのだとか。
ゲームではセカイカメラでヒントを拾うのだが、情報を共有するため、Twitterと連携したり、Googleマップを使い、マップ上にエアタグの場所をポストして「ここにいるらしい」とそしてそのリンクをTwitterに入れて、「この地図を見ると追いかけやすいよ」といったマッシュアップもゲーム上で行なわれた。まさにITと知の総動員といえるだろう。
ほかにも「#15a24」の中ではプレーヤーの中にあえて裏切り者を入れるなど、ゲーム性を高めるためのシステムが投入されたという。そして最終的には、師走の寒さにもかかわらず新宿都庁前でターゲットがつかまって大団円になったそうだ。さて、セカイカメラにおける今後の企画はどうなるのだろう? 井口さんに聞いてみたところ「セカイカメラは実空間でゲームをするときの、ARの土台となる環境を作りたいんですよ」とのこと。セカイカメラという遊びのフィールドを作り、個人でも企業でも現実空間でARゲームをやりたい仲間を増やしていきたいとか。
このエアノベル #15a24に参加できなかったのは個人的に残念。しかし、先のコナミデジタルエンタテインメントのラブプラスキャンペーンやセカイカメラはじめ、ARを使ったゲーム、ゲームイベントはまだ始まったばかり。現実とゲームの世界をミックスするARエンターテイメントは今後も期待できそうだ。
渋谷に隠された暗号をARで追いに行け!
ユビキタスエンターテインメントも先日3月13日にARを使ったゲームイベントを開催。その名は「クリムゾンフォックス 渋谷の街に隠された暗号を追え!」。「渋谷スキャナ」と呼ばれるARアプリを使い、アプリから得られる距離や方角の情報を頼りに街中にある暗号(マーカー)を探すというもの。
このゲームイベントでは、マーカーを読み込むごとにポイントが加算される。マーカーは固定のものがあれば移動するものもあり、見つけるのが困難なマーカーほどポイントが高いのだ。そして、ある一定の得点まで達するとゴールの場所が分かるようになっている。ゴールのマーカーを読み込んだらゲームは終了。先に紹介したエアノベル #15a24とはまたちょっと違うゲームシステムだが、マーカーを探す楽しみや、宝探しの楽しみも味わえる。今後も、こういったゲームイベントが開催されていくだろう。
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