「カタギでも音楽は出来る」ニコ動・ペンプロさんの決意

2010年04月14日 12時00分更新

文● 盛田諒／ASCII.jp編集部　　取材協力● 広田稔

「でも、やっぱりアルバム作りたい」

――　実際に投稿してみてどうでした？

ペンプロ　1～2曲は全然伸びなくて、「ああ……今日もOSTERさん^※はちやほやされてるのに、俺ときたら……」と。めっちゃジェラシーですよ。同じ「Project」なのに。

^{※ OSTERさん : OSTER project。やはりニコニコ動画で人気の作曲家。「恋スルVOC@LOiD」などを代表曲とする。}

――　はははは。

ペンプロ　そのとき、俺は伸びるということを勘違いしているのかもしれないと思って、まったく伸びそうにない曲を書きはじめたんです。曲にはユーミンとか好きなオールドミュージックの要素を取り入れて。そこで出したのが「チョコレート・トレイン」だったんです。

――　そこでチョコトレが生まれるわけですね。

ペンプロ　でもあれ、ボツにする予定だったんですよ。

――　えー！

ペンプロ　ぼくの思うヒット曲は「パラダイス銀河」なんですよ。メロからサビに向けて「よーう・こ・そ！」と、ドーンと盛り上がるんですが、チョコトレはリフレイン主体でノッペリした感じ。でも、そっちの方がヒットしてしまって。

――　すごく歌われてましたもんね、タイツォンさん^※とか。

ペンプロ　ただ、そうなると今度は「うかつなものが出せない病」になって、ボカロ界隈の方とも仲良くなってきたころだったので、PVとかもつけ始めるようになったんです。そうして曲を作っていると、心境の変化が生まれたんですよ。

^{※ タイツォンさん : ニコニコ動画で人気の男性シンガー。やや不安定ながら落ちついた声質で、歌だけではなくラップにも定評がある。「チョコレート・トレイン」でも特にラップ部分にコメントが殺到する。}

――　というと？

ペンプロ　やっぱりアルバム作りたい、モノで残したいなと。

――　なるほど。iTunes Storeでは配信していますよね？（iTunes Storeで見る）

PENGUINS PROJECTのセルフファースト「飛べない鳥の想像力」（1260円）

ペンプロ　そうですね。アメリカにある「CDBaby」というレーベルを経由して、自分で。最初はCDって昔のインフラに乗ってるみたいでイヤだったんです。でも曲を作ってると、やっぱりCDで持ちたくなるものなんだと。あとカラオケも嫌いだったんですが、久しぶりにやってみたら、なんか楽しくて。「ここに俺のが1曲くらい入っててもいいかな……」。

――　どんどん丸くなっていったと。

ペンプロ　（イベントで）アルバムを出したとき、目の前に買ってくれる人がいるというのはやっぱり嬉しかったですね。で、その頃からITコンサルとして仕事を始めたんですよ。

――　ええと。ITコンサルというと？

ペンプロ　まずROI、情報投資効率というのがあってですね……。