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「セカイカメラ」×「実空間透視ケータイ」開発者対談

ガラパゴスだから見えた夢――KDDIが「セカイ」に託すもの

2010年04月10日 12時00分更新

文● 松村太郎、ASCII.jp編集部

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「ルールを作って黙らせる」ではなく「話しあってルールを作る」

―― するとやはり、セカイカメラも結果として拡張現実があったということですか。

井口 そうです。重要なのは、どうやって人間と周囲の環境がつながるかだと思うんです。シリコンバレーに行ったときのことで言うと、「いまどこ?」という位置情報のソーシャルコミュニティーをゲーミングに結びつける技術が発展してるんですよ。

 セカイカメラは画像認識しないので「ARじゃない」と言われていたんですが、むしろARというトレンドより「現実空間そのものをメディアにしたい」と強く思ってました。そういう直感の方が自分にはフィットしてる、と発想したことで、結果として現在の潮流にうまく乗ったわけです。直感でドライブする方が「アテになる」感じがするんですよ。

小林 ぼくもそう思います。最先端の研究論文を読み、そのアラを探して改良するという従来型の研究ではなく「自分が欲しい」ものを開発する。要はユーザー視点ということなんだと思います。

位置情報のソーシャルコミュニティー : ユーザーが今どこにいて、何をしているかによってポイントを付与していく、ゲームのようなシステムを採用したソーシャルコミュニケーションサービス。「foursquare」が代表的。

foursquare

―― 先ほどの話で言うと、「位置情報」がどのくらいセンシティブに受け止められているのかが気になります。

井口 アメリカでも、位置情報に関してはユーザーコミュニティでかなり叩かれてるんですよ。ただ、アメリカはそういうことが起きたとき、戦いますよね。Facebookもそうでしたけど。そこで対話をして、新しい秩序を作るという精神があるんですよ。

 日本人はそういうことがあると引いてしまうところがある。「叩いて、つぶして、再構築」というやり方がないんですよね。何か起きたとき、前向きになって開発するアグレッシブな精神を持っていてもいいと思うんですよね。

―― こういう意見について、キャリア側としてはどうですか。

小林 いや、キャリアは最もディフェンシブな立場ですからね。

井口 はははは。

「キャリアは最もディフェンシブ」とおどける

小林 これまではそれで、非常に小さくまとまってしまうところが多かったんです。なので今回から「先にルールを作って規制をする」のではなく、「まず事例を作っていく」方法をとっていきたいですね。批判を含めユーザーと対話をしながら、サービスを作りあげたい。

井口 しかしこれ本当によく出来ましたよね。社内的なそういう……やばくないですか?

小林 ははは。いや、大丈夫です。Androidの開発部署からすれば新しいコミュニケーションのプラットフォームを欲しがっていて、そこにセカイカメラがマッチしていた。コンテンツ事業のメンバーからすれば、今までCPさんとつちかってきたコンテンツを配信するプラットフォームにマッチしていた。戦略的に合っていたんです。

CP : コンテンツパートナー。音楽配信サービスで楽曲を提供する企業などのことを指す。

井口 それはただ「とにかくいいものを作りたい」とか「上の人が言うから」じゃなくて、ちゃんとチームが主体的になって「自分たちだからこそ提案出来るオリジナルな価値を開発したい」という良いマインドがあったからだと思いますよ。

小林 そう思います。結局は人なんですよね。

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