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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第69回

「新聞は1日3時間」社会派ブロガー・ちきりん氏の少女時代

2010年04月05日 12時00分更新

文● 古田雄介

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「オープン」とは、違うものが普通に混在していること

―― それでは、今後の目標を教えてください。

ちきりん あえて言えば、500人のなかの1人、日本全国で合計16万人いるであろう人たちに読んでもらえるようになりたいですね。いまはユニークユーザー数が1日1万5000くらいなんですよ。残り9割の人たちにも知ってもらえればと思いますね。

 私が小学生の頃にいまのようなネットがあったら、新聞じゃなくてそちらを読んでいたかもしれません。だから「Chikirinのブログ」を一番読んでほしいのは、どこかにいるはずの「12歳のときの私」なんです。お金をかけて教育してもらえるような家庭じゃなくても、パソコン一台あれば「社会」にふれられるじゃないですか。私の頃はそれは新聞の役目でした。だけど、いまはネットのほうが優位な情報をその子に届けられるので、そのなかのサイトのひとつになれたらと思っています。あれを読んで「社会ってこうなのか!」と思ったり、「東京に行かなくちゃ」「これからの世界の中心はナニナニだ」と思ってくれたりしたら、すごく嬉しいですね。

―― それでも新聞の熟読は続けますか?

ちきりん いえ、日経新聞の朝刊だけは買ってますけど、熱心に読んでいたのは2~3年前までですね。いまは速報性だとネットのほうがありますし、新聞が考えていることが一番面白いかといったら、そうでもなくなってきているんですよ。別に昔と比べて新聞のクオリティが落ちたとかではないんですが、ネットを含めて周囲のクオリティが明らかに上がってきています。だから、相対的に新聞が絶対という存在じゃなくなっているのは確かですね。

―― 30年ずっと読み続けた新聞から離れるというのは、かなりの変化ですね。では、ちきりんさんはどんなサイトをよく見るのでしょう?

ちきりん 一般的なニュース系サイトはチェックしていますが、それとは別に毎日読んでいるのは、落ち込んだ気持ちを吐露している方のブログなど2~3サイトです。

 鬱屈した人を興味本位で覗くというわけではないんです。ただ、そういう方の中には、「自分の内面を隠すことなく書き出している」人が多いんですね。誰かに読んでもらおう、世界のどこかにいる理解者に向かって書こうというのではなく、純粋な独白を綴っている人が。ただただ素直に「こんなに辛い」と吐露しているんです。とにかく自省的で、意識が外に向かわないんです。「今日何食べた」「映画に行った」「誰かと会った」ということは一切書かない。そうではなく、「自分は何を感じたか」だけをひたすら書いているんです。

 実社会でそこまで「むきだしの個人」に触れられる機会は滅多にありません。親しい友人でも、飲みに誘って2~3時間付き合ってようやく「本当のところ、どう思う?」と切り出せるくらい。本来はそれくらいのコストをかけないと触れられない領域なのに、ネットだと常にさらけ出している人がいる。その内面に触れることで人間に対する洞察がすごく得られるんです。

―― 多種多様な人の「むきだしの部分」にふれるという意味で、中学時代に体験した社会の魅力と通じますね。まだネットも全体的に男性の利用者が多いという統計もありますし、今後より一般化していくと面白くなりそうですね。

ちきりん そうですね。本当にオープンな環境というのは、違うものが普通に混在しているものだと思うんです。実社会でも、東京って色んな地方から出てきた人が集まっていますよね。だから、一緒に食事に行ったりしたら「あれ? 味噌の色が違うよ」と言う人が出てきたりするじゃないですか。そういう、違う属性を持った人たちが当たり前に混在している。それがやっぱり、面白いと思うんですよ。

ちきりん氏はネットの翻訳機能の発展も願っていると話す。「日本語圏じゃない人でも、私と価値観が通じる人はいると思うんですね。もちろん日本よりも下がるでしょうが、5000人に1人、1万人に1人でもいいから、面白いと思ってくれる人がいたら嬉しいです」



筆者紹介──古田雄介


古田雄介

 元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニア&毎週仕事で秋葉原と都内量販店に足繁く通う毎日を送る現デジタルライター。「古田雄介のブログ」ではみなさんのお勧めサイトを募集中です。




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