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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第69回

「新聞は1日3時間」社会派ブロガー・ちきりん氏の少女時代

2010年04月05日 12時00分更新

文● 古田雄介

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「むきだしの社会」探しつづけてきた人生

―― 今回一番聞きたいことは、ちきりんさんのバックグラウンドです。あの知識と分析力がどこから生まれたのか。現在もかなりのペースで読書されていますが、その習慣はいつ頃からついたんですか?

ちきりん 小学5年生からですかね。図書館に行って借りた本なんかをよく読んでいましたけど、それより新聞ですね。毎日家に届くので、それを隅から隅まで1日3時間かけて読んでいました。そのせいでけっこう早い時期から「社会」に興味を持ち始めました。社会の仕組みみたいなものが気になって、だから新聞を読むとすごい面白くてという相互作用でハマっていきましたね。私の子供の頃はファミコンみたいなゲームもなかったので、その代わりみたいな感じで朝と学校から帰った夕方にひたすら読むという感じでした。

 文章を書くのももともと好きで、作文コンクールで入選するし新聞に投書すると載るしみたいな感じで、日記も小学6年生くらいから始めています。

つねに「むきだしの社会」を意識してきたちきりん氏。大学時代を振り返り「一番面白かったのは電話交換のアルバイト。当時はまだ国際電話が直接つながらない時代で、海外と国内の電話を取り次ぐ業務があったんです。フィリピンの女の子から『パパにつないで!』みたいな感じの電話がかかってくるわけです。でも、相手は上場企業の役員で、取り次ぐと『そんな奴は知らん』と言われて、それを女の子に伝えると『そんなことない。パパは私を見捨てたりしない』と泣かれたり。そんな感じで世界はつながっていると強く実感できました」と話した

―― 神童という感じですね。でもブログを読むと、中学生活はすさまじいことになっていたんですよね。暴力団組長の息子が幅きかせたりして(笑)。

ちきりん 授業を受けてると、窓から石が飛んできて襲撃されるんです。信じられないですよね(笑)。地元は関西なんですけど、街一番の暴力団組長の息子が同級生で、その子がすごむと先生はいいなりになっちゃうから授業がないことが多かったですし、目の前で恐喝やいじめがあっても無視。梅田のバーに売られた女の子もいましたし、誰々のお母さんがヤクザと駆け落ちして姿をくらましたこともありました。そのとき私は「社会ってすごく面白い」と思ったんです。

 普通の中学校って、フェイクじゃないですか。世の中は色々なことがあるのに、みんなでごはん食べて、勉強して、平等です、みたいなことを教えてもらって。でも、私の中学は先生の庇護がなくて、社会がむきだしで。力のある者が弱い者を屈服させるなんて、まさに「社会」ですよね。「そういうこともあるよね」と。

 中学時代は学校がそんなだったのでほとんど勉強しませんでしたが、新聞を読むのと文章を書くのは続けていましたね。なにしろ、授業中も(新聞を)読めたので。今のブログの原型みたいなものもこの時期に書くようになりました。当時は匿名性を意識することもなかったので、書いた文章を回覧して読んでくれるのが嬉しかったですね。

―― では、中学時代が「おちゃらけ社会派」の誕生という感じでしょうか。

ちきりん そうですね。もう社会そのものを体験出来たので。でも高校からは試験があるので、一気に面白くなくなるんですよ。試験というフィルターを通るから、生徒が絞られて世の中が小さくなっちゃう。とにかく高校生活は退屈で、そのときにクローズドのコミュニティは面白くなくなると感じたんです。

―― mixiを選ばなかった動機につながりますね。高校以降はどうでしたか?

ちきりん まず、広い社会への渇望があって「やっぱり東京に出ないとダメだ」という思いを強くしました。日本の社会の中心は東京なので、関西だと世の中から遠すぎると感じたんです。親から「国立大学じゃないと、お金かかるから東京に出さないよ」と言われていたので、最初はさっぱり授業についていけませんでしたが、とにかく必死に勉強しました。

 それでなんとか東京の大学に入ることができたんですけど、やっぱり大学も中学と比べるとつまらないんです。ただ、東京という都市は面白かったので、大学行くのを止めて飲み屋さんで働いたり、宗教の世界を覗いてみたりしました(笑)。それでそのまま金融機関に就職したんですが、金融でお金の流れをみていると「世界の中心はここじゃない」という思いが強くなってきたので、アメリカの大学に留学することにしたんです。そして帰国後、東京で別の会社に就職して現在にいたるという感じですね。

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