黒の引き締まった映像は極めて優秀
画質にこだわる人でも納得の実力
本機の最大の特徴である「ブラックパネル」は、上位モデルや3D対応モデルに搭載される「フル・ブラックパネル」と、ほぼ同等の技術が盛り込まれたもの。どちらも、昨年プラズマテレビ事業から撤退したパイオニアのプラズマディスプレー技術が積極的に盛り込まれており、発光効率の向上(前年比約2倍)、大幅な高コントラスト化を果たしている。
プラズマ発光のあらゆる部分を見直した数々の改善も効いているだろうが、一番大きな点は「低反射ブラックフィルター」の採用だろう。これは、従来のパナソニック製プラズマパネルの前面にあったガラスフィルターを、パネル基板と一体化したもの。前面のガラスとパネルの間に空気層がなく、外光の内部反射がなくなっている。
このため、室内の照明や外光が画面に映り込むような環境でもコントラスト感の低下が減っており、一般的な明るさの部屋でも使いやすくなっている。また、発光効率の向上は、画質だけでなく省エネにも有効で、(42V型の)年間消費電力量は140kWh/年と従来モデルよりも約30%削減された。液晶勢も着実に消費電力を下げてきているので、液晶と同等とまでは言えないが、その差はかなり迫ってきている。
スタンダードモデルとはいえ、画質の実力はかなり優秀だ。ブラックパネルは、上位機のフル・ブラックパネルとコントラスト比などのスペック面では同等で、深い黒の締まった映像などの差はほとんどないと言っていい。
強いて違いを挙げるならば、高画質モデルの「V2シリーズ」には、映画本来の色を再現する「ハリウッドカラーリマスター」が備わっており、BDで映画などをじっくりと鑑賞するような使い方では、その再現力には多少差が出る。
黒の締まりはかなりのもので、一般的な明るさの部屋での視聴では、黒浮きを感じることはほとんどない。基本的な画調はくっきりとした見やすい映像だが、映像回路で「くっきり感」を強調したような不自然さはほとんどない。
これはパネルの実力が高いため、下手に「厚化粧」(画像処理)をすることなく、コントラスト感の豊かな映像を再現できるためだろう。個人的な好みとしては、少し色乗りが濃厚だと感じたが、画質設定で十分に調整できる範囲だ。
動画の鮮明さやディテール感なども十分で、ほとんどの人は本機の画質で十分と感じるに違いない。
今春の新プラズマパネルは、抜本的な改善が図られ、画質や消費電力などあらゆる面で大きく進化した。その進化の度合いは、もともと画質の実力の高い上位機よりも、スタンダードモデルの方が大きいと感じた。価格的にも値頃感があり、かなりお買い得なモデルだと思う。