このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

Microsoft Office 2010関連製品群 定例記者説明会 第3回レポート

Office 2010はホワイトペーパーとビデオで導入支援

2010年03月30日 09時30分更新

文● 金子拓郎/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

リボンUI改善と無償コンテンツでトレーニングコストを削減

 新しいOfficeを利用するユーザーへのトレーニングとして、まず必要だと感じるのがリボンUIに関するものだろう。Office 2003までや一般のWindowsアプリケーションで使い慣れたコマンドメニューなくしてしまう「英断」には、多くの非難が集まった。リボンUIのトレーニングが大変だからという理由でOffice 2007への移行を取りやめた企業も多いはずだ。

 しかし、三菱総合研究所による調査では、リボンUIは生産性向上に大きく付与する結果が出ているという。これは、Office 2003の熟練者を2つのグループに分け、1グループはOffice 2003のまま作業を行ない、もう1グループにはOffice 2007のトレーニングを2時間行なった後にOffice 2007で作業を行なわせたものだ。初日や2日目はもとから慣れているだけあり、Office 2003のグループの方が圧倒的に作業が早かった。しかし、2週間経つと、Office 2007のグループの方が約40%も作業時間が短縮できたという。

作業効率が向上するリボンUI

 Office 2010でも、ユーザーインターフェイスは当然にリボンUIだ。ただし、Office 2007での不評だった点の改良が行なわれる。まず、リボンUIのカスタマイズが可能となる。正確にはOffice 2007でもカスタマイズは可能だったのだが、XMLデータを直接修正する必要があったため、そう簡単に可能なことではなかった。

 もう1点大きいのは、「Officeボタン」の置き換えだ。Officeボタンは、Word/Excel/PowerPointのウインドウ左上にあるボタンで、クリックすると「新規作成」や「開く」、「名前をつけて保存」、「印刷」といったメニューが表示される。Officeを使う際にはなくてはならないボタンだ。ところが、オフィスのロゴの入った丸いボタンというデザインのため、これを単なる「飾り」と思い込み、「ファイルの保存はどこで操作するんだ?」といった質問が繰り返されていた。そこで、Office 2010ではOfficeボタンは廃止され、「ホーム」や「挿入」などと同列の「ファイル」タブが作られることになった。

Office 2007の欠点が修正される新しいリボンUI

 もっとも、Office 2003までのユーザーからすれば、この程度の改良で新しいOfficeがすぐに使えるようになるわけではないだろう。そこでマイクロソフトでは、互換性のホワイトペーパーと同様に、Office 2010のトレーニングに関するコンテンツの無償配布も行なう。

 トレーニング用コンテンツの1つめは「Officeクイックガイド」で、Office 2010を使うにあたって最低限知っておくべき内容をA4サイズ1枚にまとめたものだ。そしてもう1つが、操作方法やより深く使うためのノウハウを紹介するDVDコンテンツ「Office 2010トレーニングビデオ」だ。また、作用効率を向上するためのテクニックを集めた「Office 2010Tips集」も用意する。

 2010年5月にトレーニングに関する情報を集約したポータルサイトを開設し、Office 2010パッケージ版の発売が行なわれる6月には、Office 2010トレーニングビデオの配布も開始する。このコンテンツはコピーフリーで、クライアントPCにコピーしたり、イントラネットのサーバで公開することもできる(販売は不可)。

 これもホワイトペーパーと同様なのだが、トレーニング用ビデオコンテンツはOffice 2007の際にも作成をしているが、配布は製品出荷以後となっていた。しかし、今回は製品出荷と同時の提供を目指すという。配布数は、Office 2007の2万枚を上回る予定とのことで、マイクロソフトのポータルサイト以外での配布も行なわれると見られる。

導入・展開のコスト軽減は仮想化を活用

 これまでOfficeアプリケーションを利用するには、クライアントPCにソフトウェアを配信し、インストール作業を行なうのが一般的だった。このインストール作業の手間をなくすことで導入・展開のコストを軽減する方法として紹介されたのが、仮想化機能「Application Virtualization(App-V)」だ。App-Vでは、サーバで用意した仮想的なアプリケーションのイメージを、インストール作業を行なうことなくクライアント上で実行できるようになる。イメージを配布する作業が必要な点はネットワーク経由でのインストールと解らないが、展開する時間は短くなる。

 サーバー側でサービスパックを提供した場合、適用後の差分データのみをクライアントに配信する事も可能だ。またユニークな点としては、複数のバージョンのOfficeを1台のクライアントPC上で利用する機能も持つ。こうした機能を活用することで、ソフトウェア配布工数の削減、管理コストの削減がはかれるという。

Office 2010はApp-Vへの対応を当初から予定していた最初のOfficeとなる

 導入・展開を建言するもう1つの施行は、「Volume Activation 2.0」への対応だ。Volume Activation 2.0はWindows Vistaから始まったアクティベーションの方式で、社内ネットワークに認証サーバーを構築することができる。マイクロソフトの認証サーバーとの通信は、この社内認証サーバーからのみ行なう。これにより、一般ユーザーに認証キーを渡すことなく、管理者が集中管理することが可能になる。そのため、認証キーの漏えいを防げるほか、不正コピーの防止/リスクの軽減が可能となる。

ボリュームライセンスの提供は5月中?

 会場では最後に、今後のスケジュールが公表された。まず、4月22日の発表会で、製品の価格やパッケージデザインをアナウンスする予定だという。そして、パッケージ製品の発売日については「6月中」という以前からの発表が踏襲されるのみだったが、5月12日にワールドワイドでの「ビジネスラウンチ」、5月末に日本での企業向け出荷イベントが行なわれる。

 昨年発売されたWindows 7/Server 2008 R2では、パッケージ版発売に先行して、ボリュームライセンス版の販売、TechNet Plus サブスクリプションなどでの検証用製品の提供が始まっている。ビジネスラウンチや出荷イベントで何が行なわれるのか不明だが、パッケージ版に先行して5月中にボリュームライセンス版の提供が始まる可能性は十分あるだろう。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ