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弥生のモノ作り神田通信第5回

弥生 on Windows Azure (その1)

なぜ弥生はSaaSに取り組むのか?

2010年03月31日 09時00分更新

文● 岡本浩一郎/弥生

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長年注目されてきた、弥生のSaaS戦略が明らかになった。それは、Windows Azure上で稼働する、新しいソフトウェアとなるようだ。弥生はどのようにSaaSに取り組むのか? そしてWindows Azureを選んだ理由はどこにあるのか?

 弥生株式会社の岡本です。前回は弥生の開発の「再生」について、リファクタリングを中心にお話しさせて頂きました。プロジェクト管理の徹底といった定石や、リファクタリング、開発環境のアップデートといった打ち手を通じ、弥生の開発は(まだまだ進化の途上ではありますが)無事再生することができました。それでは、再生なった弥生が今後どういった方向に進むのか。

弥生とマイクロソフト協業発表のようす
弥生とマイクロソフト協業発表のようす

 去る3月26日、弥生はマイクロソフト株式会社との協業について共同記者会見をさせて頂きました(関連記事)。弥生のコアのお客様である小規模法人・個人事業主の市場を拡大・活性化するために、2社でタッグを組むというものです。活動の中心はセミナーの開催など、マーケティング施策となりますが、同時に、弥生SaaS(仮称)というアプリケーションWindows Azure上で開発し、新たな市場を開拓するということも盛り込まれています。

 この連載の読者はエンジニアの方が多いということで、SaaSに関して強い関心をお持ちの方も多いのではないかと思います。一方でSaaSやクラウドに対し、所詮は一時的なバズワードという冷めた見方をされている方もいらっしゃるかもしれません。確かにIT業界は昔からバズワードで商売をするという悪い癖があります(古くはCRMやSCMから、最近は内部統制、IFRSといったところまで)。

 なぜ弥生はSaaSに取り組むのか。そして、なぜWindows Azureなのか。ちょっと宣伝が入りますが、小規模法人・個人事業主向けの業務ソフトとして弥生はお陰様でダントツのNo.1です。特に会計・青色申告の領域では、シェアは50%以上。一番近い競合と比較しても倍以上の大きな差となっています。これだけ考えれば、わざわざリスクをとってSaaSという新しい領域に踏み出す必要性はない(少なくとも当面は)ように思えます。

 もちろん、良く言われるSaaSのメリットを無視するわけではありません。SaaSのメリットのひとつとして挙げられるのは、管理コストの最小化。プログラムを常に最新の状態に維持するのが容易、データを堅牢なデータセンターで保管するので安全といったものです。ただし、現行の弥生シリーズでも、前者はオンラインアップデート、後者はデータバックアップサービス(製品終了時点で自動的にオンラインストレージにバックアップすることが可能)といった形で提供できています。そういった意味で、SaaSになったからすべてが良くなる、解決するといった夢を描いているわけではありません。もともとSaaSはテクノロジーに過ぎませんから、あくまで手段。SaaS化すること自体が目的になるものではありません。ですから、弥生SaaSは現行製品をSaaS化するという単純な発想から来ているのではありません。

 弥生SaaSの出発点は、まず現行の弥生シリーズとは異なる新しいアプリケーションを作りたいという点にあります。今回の連載では、弥生製品がいかに素晴らしいかをしつこく書かせて頂いておりますが(笑)、一方で課題がないというわけではありません。

 現行の弥生シリーズは、一番最初の「弥生」発売から20年以上経ち、その間着実に機能改善を図ってきたことにより、良く言えば非常に豊富な機能を提供していますが、悪く言えば複雑化してきています(マイクロソフトのOfficeなども同様ですね)。このため、特に初めて使われる方には、場合によって敷居が高くなっているとも感じています。また、もうひとつの課題は、アプリケーションが業務ごとに分断されていること。会計なら弥生会計、販売管理は弥生販売という形で完全に分断された別アプリケーションとなっています。特に弥生のコアのユーザーである小規模法人・個人事業主の場合、1人で全ての業務をこなすことも決して珍しくありませんが、現状では、何をやるかによってアプリケーションを使い分けて頂く必要があります。

 もちろん、弥生シリーズはまだまだ発展を続けますので、よりわかりやすいインターフェイスにする、アプリケーション間の連携性を高めるなど、上記の課題を徐々に克服しようとしています。しかし、それとは別に、良くも悪くもこれまでのレガシィを受け継がずに新規にアプリケーションを開発することによって、お客様に新たな価値を提供できるのではないか、と考えています。まったく新しいアプリケーションですから、特に当初は現行の弥生シリーズに比べ、機能としては劣るでしょう。ただ、現行の弥生シリーズでは、「ちょっと面倒臭い」「もうちょっと気軽に使いたい」という方には十分な訴求力を持たせることができると考えています。

次ページ「20年の波」に続く

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