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Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力 第12回

テクニカルソフト「てきぱき家計簿マム7」

16代目の家計簿ソフトはPCと生活スタイルに合わせた進化

2010年03月29日 09時00分更新

文● 塩田紳二

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バージョン番号のチェックに手を抜けない理由

―― Windows 7への対応時はどうだったのでしょう?

営業企画部の久保琢司氏

営業企画部の久保琢司氏

久保 当社のインストーラーは、インストール先のOS(Windows)のバージョンを見て動作を変えている部分があります。このため、Windows 7のバージョン番号に対応する必要があります。Windows 7はバージョン番号が6.1で、Windows Vistaの6.0とは違います。問題はこの部分だけなので、たとえばユーザーに「お使いのOSはWindows Vistaですか? Windows 7ですか?」と聞けば済みそうですが、前にも言ったようにPCにバンドルしている製品には、自動で再インストールなどが完了しなければならないので、この部分もアップデートとして提供する必要がありました。

 インストーラー以外の本体プログラム部分は修正する必要がありませんでした。これは、Windows Vista対応を以前のマム5で済ませていたからです。

―― インストーラーの問題なんですが、単純に6.0より大きいかどうかの判定をすれば、あとで面倒がなくていいのではないですか?

尾崎 お客さまがお手持ちのマムのバージョンがかなり古いもので、それを最新のWindowsにインストールする、というケースが考えられます。そうなったときに、インストールを完了させてしまうのではなく、エラーを出して止めることで、当社のサポートに連絡してもらうためにも、将来のOSのバージョンにあらかじめ対応しておくといったことはしていません。

 実際、ソフトウェア自体はかなり昔に買った物でも、新しく買ったマシンにインスールして使うということは比較的多いようです。

―― 新しいマム7ではどういう対応をされたのでしょうか?

尾崎 実際には、マム7では、インストーラーそのものを新しいものに差し替えました。まず、マム7からは、Windows XPからの対応になったこともあり、インストーラーを一新することにしました。

―― 開発環境は何を使っているのですか?

開発室リーダーの尾崎定信氏

開発室リーダーの尾崎定信氏

尾崎 パッケージ版のマムに関しては、今でも「Visual BASIC 6.0」を使っています。.NET対応前のものなので、本音を言えばやめたいのですが、これまでに蓄積したものもあるので、なかなか移行できません。開発マシンはWindows XP上で動かしています。

 Webサービスのほうは、.NET Frameworkで開発しています。ツールは「Visual Studio 2005」で、ASP.NET(.NET Framework 2.0)で開発しました(関連記事2)。稼働開始してから10年ぐらいになるサービスなので、新しいものを開発している最中です。



無駄をそぎ落とし、使い勝手を向上したマム7

―― 最新の「マム7」の特徴を教えてください?

営業企画部の山田健司氏

営業企画部の山田健司氏

山田(健) マムシリーズは、長い間バージョンアップを重ねたソフトウェアなので、その間にいろいろな機能を取り込んできました。中には、家計簿とは直接関係のない機能も含まれます。新しいマム7では、そうした機能を一度洗いだして不要なものを削り、必要なもののみを残すというバージョンにしました。

―― Windows 7対応以外で、マム7に装備された新機能にはどういうものがありますか?

お金の出し入れの操作画面

銀行ATMをイメージしたという、お金の出し入れの操作画面

山田(健) マム7では、分かりやすさと使いやすさを考えて、お金の出し入れの操作画面を“銀行ATM”のイメージにしました。日本では、預金と現金を区別して扱うことがほとんどだからです。また、メイン画面には大きく「レシート入力」を出して、買い物のレシートを日々入力するというUIにしてあります。ここには、日々売値が変わる食品や日用品の底値を記録する機能もあります。今日の買い物は割高だったとか、チラシを見て特売品がどれだけ割安かなどが分かります。

 これまでは、企業の帳簿的に預金や引き出し、購入などの項目別に扱っていたのですが、より実生活のイメージに合わせるたのです。また、お買い物リストを作って、携帯電話にメール送信するといった機能もあります。

―― では逆に、マム6までのどの機能が不要と判断されたのでしょう?

山田(健) ユーザーアンケートを行ない、各機能がどれだけ認知されているか調べたり、お客さまからの問い合わせ内容などが判断の材料になっています。たとえば、かつてはPCの性能があまり高くなかったので、マム本体を起動しなくても入力できる「簡易入力」機能があったのですが、最近のPCは十分に高性能でマム本体を起動してもそんなに負荷はありません(すぐに起動完了して入力を始められる)。そのため、こうした機能を省くことにしました。

 ただ、ユーザー調査の結果を見ると、家計簿に直接関係ない機能でも、たとえば「日記」機能などは認知度が高くて、比較的評判もいい機能であることがわかりました。そういうものは残しています。

―― Windows 7から搭載された新機能への対応は、どう考えていますか?

山田(健) マルチタッチに関してはいろいろと調べていますが、現段階ではマウスの替わりに使える程度です。マムのほうには、特にタッチを必要とする機能や操作がないので、本格的な対応はまだ果たせていません。  将来的には――例えば「手書き入力」といったことも考えてはいます。実際、家計簿ソフトのライバルは、書籍の家計簿でもあるので、手書き対応は大きいでしょうね。ただ、(使いやすく実現するために)どうやるべきか、いろいろと考える必要があると思います。

―― いずれ手書きやマルチタッチ、センサー入力などに対応した新世代のマムが登場することを期待しています。本日はありがとうございました。


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