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ダブル長時間録画で快適!

パナの10倍録画の画質は!? ブルーレイDIGAを試す

2010年03月24日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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前作の最上位モデル「DMR-BW970」の高画質技術を継承

 ユニフィエの更新は、高画質の実力も大幅に高めている。ビデオ信号のインターレース素材をプログレッシブ信号に変換してから「クロマアップサンプリング」(色信号の復調)を行なうことにより色解像度を向上したほか、システムLSIをワンチップ化することで、信号のデコードやスケーリング、I/P変換といった処理を最適化。演算精度による階調ロスを排除し、映像信号の持つ階調を余すことなく再現できる「階調ロスレス」システムなども搭載されている。

左が「超解像アップコンバート:0(切)」、右が「超解像アップコンバート:2」の映像。コントラスト感が向上し、メリハリがくっきりとしていることがわかる

 新たに追加された高画質機能には「超解像アップコンバート」がある。これは、いわゆるDVDなど標準画質の映像をハイビジョンと同じ解像度に変換する際に、超解像技術を使って精細感を高めるもの。

 DVDソフトだけでなく、デジタル放送のSD画質放送や、地デジの1440×1080ドットの映像の変換でも超解像技術の効果が得られる。そして、超解像技術による精細感の向上は、「0(切)/1/2」の3段階を選択できる。なお、フルHDのBDソフトやBSデジタル放送の再生では適用されない。

 実際にDVDソフトのほか、BSデジタル放送のBS1/2のSD画質放送、地デジ放送を試してみたが、もっとも精細感を高める「超解像アップコンバート:2」でも、不要なリンギングや不自然な強調感のない、スムーズな精細感が得られた。「超解像アップコンバート:0(切)」でも、特に甘い映像になったりはしないのだが、「超解像アップコンバート:2」にすると、服の模様などがよりくっきりとし、メリハリの効いた映像になるように感じた。色の濃淡がややきつめになる印象もあるので、好みによって「1」と「2」を選ぶといいだろう。

「再生設定」メニューにある「アニメ」モードの選択画面。自動的には切り替わらないので、自分で設定を変更する必要がある

「再生設定」メニューにある「アニメ」モードの選択画面。自動的には切り替わらないので、自分で設定を変更する必要がある

 もうひとつが「アニメ」モードの追加だ。これは「再生設定」にある「映像」メニューの「画質選択」で設定できる。アニメモードでは、特有の太い描線のまわりに目立つモスキートノイズを低減し、くっきりとした輪郭の再現や、階調を滑らかに再現する。

 アニメで目立ちやすいノイズを低減し、すっきりと見やすい画質にするもので、ノイズ低減による精細感への影響もほとんどなかった。地デジ放送のアニメは、動きの速いシーンでノイズが目立ちがちになることが多いので、有効に活用できるだろう。


誰もが気になる、10倍モードの画質はどうか?

 10倍モードの画質を見てみよう。前シリーズ(DMR-BW970)での8倍モードが、全体的に解像感を落とした印象とし、その分映像の破綻やノイズの増加をなくそうとした傾向なのに対し、BW880の10倍モードでは、なかなか精細感の高い映像に仕上がっていた。

 ただし、動きの速い映像ではやはり解像感の劣化があり、どうしても細部が潰れがちになってしまう。番組のジャンルにはあまり関係がなく、カメラ全体が動くような映像や、固定視点でも大勢の群衆が歩く街並みを捉えた映像では、歩いている人々の姿が潰れてしまいがちになる。転送レートでおよそ2.4Mbps程度の10倍モードなので、そもそも仕方のない部分とは思うが、大事なソースの視聴やBD保存には向かない印象だ。

左がDRモードで、右が10倍モード。川を遡上する観光船をカメラが追った映像で、船のスピードが比較的早いこともあり、全体に映像が潰れがちになってしまう

左がDRモードで、右が10倍モード。奥にある山に向かってカメラが進んでいくシーンで、手前の草花などのディテールは比較的よく再現されているのだが、輪郭の乱れはわりと目立つ

 番組のジャンル別では、ニュースのような固定視点の映像はかなりの精細感で、映像の劣化はほとんど気にならない。中継映像に重ねられる文字のテロップなどの周囲に発生しがちなモスキートノイズなどもうまく抑えられていた。

 ドキュメント映像のような、比較的ゆっくりとした動きの映像もまずまずだが、街の中を走り抜ける車など、動きのある部分だけが輪郭などが乱れがちになる。映画やドラマを見ても、肌の色の階調感や暗部などが潰れてしまうことはなく、パッと見るとオンエアの映像そのままと言いたくなるのだが、シーンの切り替わりなど、情報量が必要になる部分ではやや映像が乱れてしまうのが気になる。

 アニメも比較的、相性は良いようだが、素早いカット割りが連続したり、動きが速い映像になると、MPEGノイズが目立つようになる。意外だったのは音楽のライブで、素早い動きに追従できない部分はあるが、ライトの明滅などには比較的強かった。明暗差の大きい映像での破綻は思ったよりも少ないようだ。

 最も苦手なスポーツや、CGを多用した動きの多い映像では、情報不足によりMPEGノイズの発生が多めになってしまう。多少見づらくなるのは確かなのだが、選手の背番号などはしっかりと読み取れるし、輪郭は乱れるものの、表情などはしっかりとわかる。単純に試合の模様を見ているだけならば、あまり気にならない。このあたりについては、かなり高精度な動き検出などを行なっているように感じた。

 ここ最近のDIGAシリーズは、BDソフトだけでなく、録画映像でも高精細な映像再現に力を注いでおり、その傾向が本機でも現れているようだ。そのため、10倍モードでも精細感はかなり保たれているのだが、そのせいでMPEGノイズなども目立ってしまいがちになるように感じた。

 10倍モードを多用する場合は、MPEGノイズリダクションを使うようにするなど、多少調整した方が見やすい映像になると思う。

 DRモードでの録画・再生やBDソフトの再生では、なかなか情報量の多い映像で、良質なコンテンツをじっくりと楽しみたい人には最適なモデルだと感じる。音質に関しても、前シリーズ最上位機種のDMR-BW970のようなクオリティーの高さは望めないものの、元の情報量をしっかりと再現している。

 さらに、超解像技術によるアップコンバートや、アニメ映像への対応など、高画質にかなり力を注いだモデルと言える。DMR-BW970の映像の実力をコンベンショナルなモデルでも継承したのは見事だ。


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