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Windows Serverで学ぶサーバOS入門 第10回

パスワードやタイムゾーン、コンピュータ名の設定方法を理解しよう

Windows Serverの初期設定はどうやるの?

2010年03月30日 09時00分更新

文● 横山哲也/グローバルナレッジネットワーク株式会社

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64ビットモードへの移行

 インテルの32ビットCPUアーキテクチャはi386で完成した。ただし、そのあといくつかの細かな改良が加えられており、現在のWindowsはi386では動作しない。i386の後継CPUはi486であった。そして、i486の後継はPentiumとなったが、開発中はi586と呼ばれていた。つまり、いずれも86という数字で終わる。そこで、32ビットCPUの総称としてx86という名称が使われるようになった。なお、このPentiumの「Pent」はギリシャ語の5だ。

 一方AMDは、インテルの32ビットアーキテクチャ互換CPUを開発し販売している。これもx86の一種である。「x86」自体はどこかの会社の商標ではないし、命令セットには著作権や特許が及ばないため、法的な問題はまったくない。

 ただし、x86アーキテクチャには、過去の経緯や技術的な制約からいくつかの欠点がある。まず、利用可能なレジスタ数が少ない。レジスタとは、CPU内部の作業領域で計算用のパラメータを保持するための領域だ。x86ではレジスタが8本しかないうえ、いくつかのレジスタは用途が決まっており、自由に使えない。次にメモリ空間の制約がある。32ビットCPUが直接利用可能なメモリ領域は4GBで、現在のサーバとして利用するにはかなり少ない。

 インテルは、こうした問題を解決するため、まったく新しいCPUとして「Itanium(アイテニアム)」を開発した。Itaniumは優れたCPUだが、x86互換命令をきわめて低速にしか実行できない。しかも高価であることなどにより、広く普及するには至っていない。

写真1●64ビットプロセッサーとして新規に設計された「Itanium」

 そこに目を付けたのがAMDである。AMDは、x86のメモリ空間とレジスタを拡張し、そのほかには手を付けなかった。これがAMD64である。AMD64が広く受け入れられたことを受けて、インテルはAMD64と互換性のあるCPUアーキテクチャ「EM64T(Extended Memory 64 bit Technology)」を発表した。これが現在のIntel 64である。マイクロソフトは両者を総称してx64と呼び、その名称は一般にも普及した。ただしWindowsのインストールDVDのフォルダ名はAMD64の名前が残っている。

写真2●x86の拡張で64ビット機能を搭載した「Opteron」

 x64の長所は、基本的には扱えるメモリ量の増加だけだが、x64に対応したコンパイラで再コンパイルすると速度も向上する場合がある。たとえば、マイクロソフトの調査ではSSL(Webの暗号化)の速度などが40%以上向上しているという。暗号化計算は多倍長の整数演算を大量に行なう。128ビットの計算を行なうのに、32ビットレジスタの場合は最低でも4回計算しなければならないのに、64ビットレジスタなら2回で済む。これが速度に大きく貢献しているようだ。

 本記事は、ネットワークマガジンにて掲載していた連載をまとめたものです。連載の一部は弊社刊行の書籍「Windows Serverマスターガイド」にも収録をしております。

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 また、月刊アスキードットテクノロジーズでは、2010年3月号より本記事の執筆者である横山哲也氏による連載「Windows Server 2008 R2運用テクニック」を掲載しております。最新のWindows Serverの情報に関しましては、こちらもご覧ください。

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