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エコポイント狙いのお得なテレビ購入術 第5回

これまでとは別次元!? 注目最新テレビをチェック

2010年03月15日 15時25分更新

文● 鳥居一豊

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プラズマのパナソニックとソニーの液晶
有利なのはどっちだ?

 基本的に両者ともフレームシーケンシャル方式で、3Dメガネのアクティブシャッター方式も同じ。余談だが、これらの方式のデメリットは、首を左右に傾けると3D効果が感じられなくなるというものがある。

 わずかに首をかしげる程度では問題がなかったが、ベッドに横になって眺めるような視聴では3D効果は得られないだろう。この点については両者ともほぼ同様だ。

ソニーの3D表示の仕組み

ソニーの3D表示の仕組み

 違いがあるのは、前述の照明によるフリッカーの問題。こちらについてはソニーが有利。フリッカーはインバーター付きの蛍光灯ではほとんど感じにくいが、最近注目されているLED電球の場合、かなり激しいフリッカーがあり、テレビ画面に集中しにくく感じた。

 このため、ソニーでは、明るい部屋でも快適に3D映像が楽しめることをアピールしている。パナソニックはその点、やや不利ではあるが、もともとプラズマは暗い部屋でこそ高画質の実力をフルに発揮できるタイプのディスプレーだ。テレビの前にいるときは必ず3Dメガネを装着しているわけでもないし、3D映像を楽しむときは照明を落として映画館のような環境でじっくりと高画質を楽しむようにすれば問題はないだろう。

 両者の画質は試作機のデモなどで、それぞれ何度か見ているが、それぞれ違う種類のコンテンツということもあり、厳密な比較はまだできない。個人的な印象で言えば、3D効果に関しては、どちらも期待以上の立体感や奥行き感が感じられ、それでいて、いかにも映像が飛び出しているような不自然さもなく、長時間視聴していても目が痛くなったりすることはなさそうだ。

 3Dメガネの装着感は、常時メガネを必要とする筆者の場合(メガネの上に3Dメガネを重ねるため)、テンプルの開き角を調節できるソニーの方が装着時の安定感は良かった。パナソニックの場合はその分、ややグラつく印象はあるが、軽量で負担は少ない。

 また、両者の3D映像などを見ていて気付いたのは、テレビの違い以上に、映像の撮り方で3Dの効果は大きく異なるということ。「スカパー! HD」での3D放送について話を伺ったときにも、コンテンツなどにより3Dに適したソースには相性があると聞いた。

3D撮影用のカメラ(ソニー PCL)

3D撮影用のカメラ(ソニー PCL)

 ソースとの相性は、今後の撮影技術やカメラマンのノウハウが蓄積されることで、改善されていくと思われる。ただ、映画などのようにあらかじめ構図が決められた映像に対して、どのようにカメラを動かしていくかが予想できないスポーツなどの中継は難しそうで、効果的なカメラの配置など検討する点は多いという。

 そして、期待できるのが音楽ライブ。これらのステージ上のカメラの動きなどは事前にきちんと決定されているので、3D映像収録もスムーズに行なえるという。

昨年の「CEATEC JAPAN」では、シャープや東芝も3Dの技術展示デモを行なっていた

 そのほかのメーカーも3Dテレビの開発は行なっている。3DのBDコンテンツが出始める年末までにどのくらいのメーカーが3Dテレビや対応BDレコーダーをリリースするのか、目が離せない。


コンテンツ不足は解消できるか? 「スカパー! HD」の3D放送に注目

「スカパー! HD」チューナー

現行の「スカパー! HD」チューナーも3D放送に対応する

 今夏から3D放送を開始する「スカパー! HD」。BS11と同じく「サイド・バイ・サイド」方式を採用し、チューナーなども現行のものがそのまま使える。ちなみに、放送された3D番組を通常のBDレコーダーなどで録画しておけば、後に3Dテレビと接続すれば3D映像として見ることもできる。

 2010年度は月2~3本程度から開始し、順次コンテンツを増やしていくという。有料/無料といった詳細な内容も現在はまだ検討中だ。スカパー! HDの場合、専門チャンネルという強みがあり、3D放送も専門チャンネルで行なう予定。他の放送局の場合、同じチャンネルで2D放送と3D放送が混在することになりかねないが、それではユーザーが混乱しがち。このあたりの編成のしやすさも含め、スカパー! HDと3D放送は相性がよさそうだ。

 そして、3D放送でも「スカパー!」が得意とするライブイベントに力を注いでいく意向だ。現在、スポーツはもちろん、音楽や格闘技など、さまざまなイベントで3D映像を収録し、撮影方法やカメラ位置の検討を行なっている。いくつか、検討用の映像も見せてもらったのだが、比較的撮りやすいと言われる音楽ライブなどは、まさに自分がステージにいるかのようで、目の前のボーカルと、後ろのギタリストの位置関係がその距離感までリアルに感じられた。

 格闘技などでは、俯瞰で眺めるよりも被写体と同じくらいの高さの方が3D感は高まるのだが、その場合、リングロープがカメラの前に入ってしまうので(さすがにカメラマンがリングの中には入れない)、3D映像として見にくくなる点が問題となっているようだ。驚いたのはゴルフの映像で、見晴らしの良いフェアウェイの奥行き感もさることながら、グリーンの微妙な起伏がもの凄く明瞭だったこと。芝目どころか起伏まで読める映像で、ゴルフ好きな人なら一緒にプレイしている気分になるだろう。

 そして、「サイド・バイ・サイド」方式で気になる横方向の解像度感の不足も、思ったよりは少なかった。多少斜め解像度が劣化し、建物などの輪郭がギザギザになることはあるが、ハイビジョンらしい精細感やリアルな立体感は十分だ。実際、専門チャンネルの強みを生かして帯域を広め、より映像の転送レートを高めることも検討しているようなので、クオリティーの高い3D放送が楽しめるだろう。

 もちろん、当初は制作が完了している映画などのコンテンツもあると思うが、やはり「スカパー!」独自のオリジナルコンテンツにも期待したい。

 というわけで、本命のフルハイビジョン3Dは少々先の話になるが、3Dコンテンツは着実に充実されていくはず。見る物がなければ買う必要もないわけで、コンテンツ不足は3Dテレビの抱える大きな問題だ。これでブレーキがかかってしまうと、今までにも何度か発売された3Dテレビの二の舞になってしまう。それを回避し、3Dテレビの本格的な普及を進める上でも、「スカパー!」への期待は大きい。


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