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プロがなぜ3Dミクに「本気」を出すのか Tripshots流の創作論

2010年03月12日 12時00分更新

文● ノトフ

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同じ3Dでも「MMD」と「トリミク」では目指す方向が違う

―― 映像としてミクを使うことに関しては、あそこまでデフォルメするならオリジナルキャラでもいいくらいの感じもしなくはないんですが……。

Tripshots 初音ミクの人気に乗っかってるという部分はかなりありますよ。最近はおかげさまで「トリミク」というキャラクター性が出来上がってきたので、そういうイメージを伸ばしていければと思うんですけど。あくまで「ミク」っていう土壌の中の、1つのキャラクターとして見てもらえばいいですね。

―― 絵柄的にはニコ動でウケそうな「萌え」の感じとは違うじゃないですか。これは自然に出てきた絵柄ですか?

Tripshots そうですね、これが僕の作風だと思います。僕が見たい映像とか頭の中で想像しているものを純粋に具現化していくとああなるっていう。

「萌え」というより、教育テレビなどで放送されるようなタッチ

―― 同じ動画制作者でMMDは気になります? 負けたくないとか。

Tripshots 負けたくないとかはないんですが、気にはなります。広まり方が面白いですよね。誰でも作れるし、突き詰めようと思えばいろんな機能もついてるし。そして優れた作品がポンポン出てくるし、非常に刺激になりますよ。

―― MMDが盛り上がっててあっちの祭りも参加してみたいなとかは?

Tripshots 僕はMMDの作品を作っちゃいけないような気がします。

―― というと。

Tripshots 同じ3Dでも、レンダリングしたものとリアルタイムレンダリングのものって全然違うんですよ。表現したいものの方向性が違うっていうか……あくまで3Dで作って、加工された綺麗な映像を見せたいんですよね。ぼくの作品は「3Dであること」が注目されるんですけど、そうじゃなくて、映像としての目線で考えてるんです。

MMDのスクリーンショット

―― では、今後は2Dの映像を作ることも?

Tripshots 全然あります。音に合った映像が2Dだったら、ありえますよね。

―― 総合芸術的な感じですかね。

Tripshots 音がどうとか映像がどうじゃなくて、1つの出来上がったものとして見てほしいんですよね。

―― だから映像と音との親和性が高いんですかね。

Tripshots 自分で両方やってる利点もあるんです。曲ありきで動画を作っていくんじゃなく、同時進行である程度やっていくとき。曲は基本的には先にありますけど、映像作っていく段階でここはもっとこうしたいっていうのがあれば、自分で音も修正出来ます。そこが一人で全部やってるっていう強みですよね。それでトータルの表現力が高くなっていく。

―― なるほど。

Tripshots 歌詞も同じですよ。これも分業してると絶対出来ないことですね。それはもちろん大変なことなんですけど、そこまでやらないとプライベートで苦労している甲斐がないですよね。

―― Tripshots作品の完成度の高さの秘密ですね。

Tripshots 自己満足の世界なんですけど、世界観の構築ですね。そこはかなり気を遣ってやってます。

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