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ソースネクスト社長 松田憲幸氏に聞く

iPhoneとサポート、2つの新事業に挑むソースネクスト

2010年03月12日 12時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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安価で広範なサポートを提供することで、
量販店とユーザーの双方に利益がある

ASCII.jp:お客さんに困りごとを持ち込まれたときに、「これを買って、ここに聞いてください」と言って済めば、量販店はサポート対応で取られる人件費が浮くわけですね。

松田「さらにこれを売ることで、量販店は儲かる。今はサポートによるお金の収入はありませんから、完全に持ち出しです。今後はこれを売ることで、量販店は手間を取られることもなくなり、かつこれの販売による利益も見込める。これは量販店の側から見ればプラスです」

「ユーザー視点から見ますと、従来のこの手のサービスは、1件あたり結構なお金がかかるんです。だからなかなか使われない。それによって、結局パソコンから消費者が離れてしまったり、使わなくなったりすることで非効率になる。パソコン分野も伸びていかないというジレンマがある。だから量販店側とユーザー側の双方に、こうしたサービスのニーズがあると感じました」

「当社も累計3000万本のソフトを販売して、サポートもずっとやってきたなかで、それなりの蓄積があります。当社では非常に多彩なソフトを扱っていますが、『どのソフトが何を邪魔しているか』というのは、1社で調べないとわからないんですよ。当社ではすべてコンフリクトテストというのをやっていまして、ひとつの製品を出す際には、百何十もの当社のソフトと衝突するかどうかをテストしています。これにはけっこうなスキルと労力が必要です」

「サポートに関しては、ウェブで解決するケースもありますし、メールで済むケース、リモートサービスを利用するケース、いろいろあります。例えばウイルスセキュリティシリーズの場合、ほとんどがメール等で解決していますし、そもそもサポートの件数自体がかなり減っています。問題点をどんどん潰していったおかげで、サポートの問い合わせも減らせたわけです。不具合を聞いて製品を改善するしか、根本的な対策はないんですよね。ソースネクストが多くの製品を手がける理由のひとつは、元々そういうところから来ているのです」

ASCII.jp:この製品は、パソコンソフトの売り場や本体の売り場にパッケージを置いて、それを店頭で買ってもらうという販売方式ですね。

松田「そうです。周辺機器売り場もあるかもしれませんね、プリンターとか。例えば『筆王』のサポートへの問い合わせで、『インクがない』という問い合わせがあったりするのです」

ASCII.jp:パソコンに慣れた者からすれば、「それはソフトウェアベンダーに言うことじゃない」とわかるのですが、どこに言えばいいのかわからない方もいるのでしょうね。

松田「そういう問い合わせが一番来てしまうのが、結局量販店なんでしょう。例えば私が液晶テレビを買って、なにかの拍子に映らなくなったら、たぶん買ったお店に電話します。同じようにパソコンに問題があったときは、量販店に質問が行ってしまう」

「そうしたサポートに対するクレームを受けながら、商品化していくということは結構多いんですよ。3割くらいのソフトはそうじゃないでしょうか。『こんなソフトはないのか』『こんなことはできないのか』と言われていくうちに、それを製品化したり、製品の機能として取り込んでいくのは多いですね」

ASCII.jp:今回のサポートサービスがある程度ビジネスとして軌道に乗った場合、ハード・ソフトベンダーや量販店向けに、サポート業務を請け負うサービスを販売する可能性はございますか。

松田「それは十分あるんじゃないでしょうか。他社でも訪問サポートを提供しているところはありますよね。実際のサポートコストにこの製品の価格以上のコストがかかっているところはあるでしょうから、パソコンやプリンターにこの製品をバンドルするといった方法は、十分あると思います」

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